2019 Fiscal Year Annual Research Report
Synthetic Application of Instable Reactive Intermediates
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17K05793
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
遠藤 恆平 東京理科大学, 理学部第一部化学科, 准教授 (70454064)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 有機化学 / 有機金属化学 / 超分子 / 錯体化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
結果的に手を焼いたが研究の種蒔きが完了したという印象で完遂することができた。ただし、本研究の当初目標とする進捗状況として考えると不十分で反省する必要がある。不安定中間体を直接的に扱う限界も明確になった一方で、αーボリルケトン、シリルケトン誘導体など、他研究者による報告を見る限り方向性は間違っていなかったと言える。独自に開発したパラジウムナノ結晶はギ酸を用いるアルキンの選択的還元反応などにおいて高い活性と選択性を示した。透過型電子顕微鏡TEMによる解析では、パラジウムナノ結晶の表面のprotecting layerが存在することなども明らかになったが、現状では、配位子など一切加えていない条件下で、なぜ機械的破壊にも耐えうるパラジウムナノ結晶が生じたか不明瞭のままである。触媒機能と、金属クラスターの表面状態には、重要な関係性があるため、詳細の解明に取り組む必要がある。多核金属錯体触媒については、新しい展開が見えたため、2020年度から、徐々に論文投稿に入る予定である。予想外にも、いくつかの簡単な反応例において、既存の反応機構では説明不可能な、多核金属中間体の効果が発現することが明らかになってきている。この点を今後の反応や触媒開発に活用する予定である。また、不安定中間体を発生させる上で利用する有機材料の分子設計の確立に成功しているが、現状では論文発表までの道筋が立てられていない。これから研究を進展させる必要がある。未報告の内容が多いため、詳細についての記入は避ける。 本研究の過程では、他研究者が報告可能なレベルの研究をする意味もないと感じた。研究過程で部分的に方向性を変えたことで、他研究者との共存ではなく、独立した研究内容へと進むことにした。今後は、類似研究で煮詰まった個々の領域に力を集約させず、今回の科研費補助により見出した新たな研究領域を開拓する予定である。
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Research Products
(2 results)