2019 Fiscal Year Annual Research Report
Quantum Chemical Study of the Mechanism of the Si-H Bonds Activated by Lewis Acids
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17K05795
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
坂田 健 東邦大学, 薬学部, 教授 (90328922)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ルイス酸 / 相互作用エネルギー / 量子化学計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29 年度には,二体間の相互作用が相互作用系のそれぞれの原子にはたらく力に対してどのように影響を及ぼしているのか,さらには,相互作用系の基準振動にどのように影響しているのか,といった問題に関して,二体相互作用系のためのエネルギー分割法を用いて,力や力の定数を分割する手法を開発し,3中心4電子系のCH3Cl-, SiH3Cl-, GeH3Cl-系に適用した。令和元年度には,この手法を用いて,トリメチルシラン (SiHMe3) とトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(B(C6F5)3) からなるη1型コンプレックスの構造安定性について検討をおこなった。ルイス酸であるB(C6F5)3は,シランのSi-H結合を活性化する際,η1型コンプレックスを経由することが実験的に指摘されてきた。このコンプレックスは,Ab initio MP2法では安定構造が求まるものの,DFT法では用いる汎関数に依存し,安定構造が適切に求められない場合があることをすでに見いだしている。そこで,MP2法を用いて,Li等により提案されたエネルギー分割に基づいた力の分割法をη1型コンプレックスの安定構造に適用し,相互作用の影響を見積もった。その結果,電子相関の項が,シランのSi-H 結合とボランのB 原子の間で引力的にはたらいていることが示された。よって,ルイス酸がシランのSi-H結合を活性化する機構を明らかにするためには,分散力を適切に取り入れる等の適切な電子相関の取り込みが必要であることが明らかとなった。現在,論文発表に向けて準備中である。 さらに,ルイス酸触媒を用いたディールス・アルダー反応において,ルイス酸がどのように触媒としての役割を果たすのか,詳細な検討をおこなった平成30 年度の成果をもとに,令和元年度には論文化した (ChemistryOpen 印刷中)。
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