2018 Fiscal Year Research-status Report
Syntheses and Their Photocatalytic CO2 Reduction of Dinuclear Metal Complexes with Peptide Linkages
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17K05815
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
石田 斉 北里大学, 理学部, 准教授 (30203003)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 二酸化炭素還元 / ルテニウム / ペプチド / 非天然アミノ酸 / 光触媒 / 分子触媒 / 人工光合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでに、ルテニウム-ビピリジン錯体を触媒とする光化学的CO2還元反応において、反応生成物である一酸化炭素およびギ酸の比率が触媒濃度に依存して変化し、高濃度条件下でギ酸生成が増加することを見出している(Chem. Sci., 2015, 6, 3063-3074)。このことは触媒高濃度条件下ではルテニウム錯体が二量化したダイマー錯体を形成し、単核錯体と異なる反応性を示すためと考えているが、その詳細はまだ明らかとなっていない。本研究では、ルテニウム錯体触媒を連結し二量化しやすくすることによって、光化学的CO2還元反応における触媒活性がどのような影響を受けるかについて検討する。また、同様にダイマー錯体を形成してCO2還元を触媒することが報告されているマンガン錯体についても検討することを計画している。 研究開始初年度である2017年度は、比較のためにビピリジン配位子の異なる位置にメチル基を有するルテニウム-ビピリジン錯体を合成し、その触媒活性を検討した(ChemPhotoChem, 2018, 2, 314-322)。6,6’-位に導入した誘導体は立体障害のためにダイマーを形成せず一酸化炭素が選択的に生成した。また4,4’-と5,5’-誘導体は触媒低濃度条件では活性が類似していたにもかかわらず、触媒高濃度条件では5,5’-誘導体が高活性であったことから、触媒から光増感分子への逆電子移動過程が存在するものと考えている。 2018年度は、ルテニウム錯体をペプチド鎖で架橋したルテニウム二核錯体を新規に合成し、その光化学的CO2還元触媒反応を検討した。その結果、還元生成物である一酸化炭素/ギ酸の生成比は、単核錯体と異なり触媒濃度に依存しないことが明らかとなった。このことは2分子のルテニウム錯体を連結することによって、ダイマー形成過程が触媒濃度に依存しなくなったためと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始から最初の2年間(2017年度および2018年度)で、当初目標であるペプチド鎖で架橋したルテニウム二核錯体を新規に合成することができ、その光化学的CO2還元触媒反応において生成物選択性が触媒濃度に依存しないことを見出すなど、研究はおおむね順調に進展していると言える。またペプチド鎖以外の有機分子で架橋したルテニウム二核錯体の合成にも成功している。これ以外にも、ビピリジン配位子への置換基導入によって触媒活性が大きな影響を受けることなど、触媒設計上、有用な知見も得られている。本研究は、ルテニウム錯体だけでなく、マンガン錯体触媒による光化学的CO2還元反応も視野に入れているが、2018年度はその予備的検討として、マンガン単核錯体による光触媒反応を調べており、最終年度(2019年度)に向けて順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2019年度は、これまで確立してきた配位子合成技術を生かして、ペプチド鎖で架橋したマンガン連結二核錯体を新規に合成し、それらを触媒とする光化学的CO2還元反応を行う。特に、その触媒濃度依存性について詳細に検討する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は物品費支出が抑えられことから、当該助成金が生じた。研究は順調に進展している上、次年度は最終年度のため助成金が極端に少ないことから、当該助成金と合わせても使用計画には大きな変更は必要ないと考えている。
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