2019 Fiscal Year Research-status Report
金属上での酸素活性化を利用したコバルト錯体による硫黄酸化反応
Project/Area Number |
17K05822
|
Research Institution | Ibaraki National College of Technology |
Principal Investigator |
小松崎 秀人 茨城工業高等専門学校, 国際創造工学科, 教授 (00280347)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | コバルト錯体 / トリスピラゾリルボレート配位子 / 酸素活性化 / 硫黄酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、トリスピラゾリルボレート配位子(Tp)を用いることで、硫黄原子の酸化に関与するシステインジオキシゲナーゼ酵素等の基質結合体を模倣したコバルト錯体を合成し、その錯体と酸素との反応を行ってきている。本研究では、Tp配位子の置換基効果も含めて検討を進めてきた。 システアミナト錯体、o-アミノチオフェノラト錯体については、Tp配位子のピラゾール3位と5位にフェニル基を有するコバルト錯体の合成を行い、酸素との反応における置換効果を確認した。システアミナト錯体については、X線構造解析には至っていないが、酸素に不安定な錯体が生成することが分かった。現在、その単結晶化を試みている。一方、o-アミノチオフェノラト錯体では酸素に安定な錯体が得られている。この錯体はX線構造解析により、o-アミノチオフェノラト配位子は、Tp配位子のフェニル基との間で立体反発を避けるように二座配位していることがわかった。これにより、酸素がコバルト(II)中心に接近できず、酸素との反応が進行しないものと考えられる。試験的に、この錯体と過酸化水素との反応を行ってみると溶液色が変化し、コバルト中心もしくは硫黄原子酸化の進行が示唆された。 また、トリスピラゾリルボレート(Tp)におけるピラゾールの3位と5位にイソプロピル基を有する亜鉛錯体の合成を行った。この錯体は酸素に安定であり、硫黄原子の酸化は進行していない。そのため、同配位子を有するコバルト錯体の酸素活性化においては、コバルト上で酸素が還元的活性化を受け、スーパーオキソ種のような活性種になると思われる。今後は、その詳細について詰めていきたいと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
申請者が副校長の主事補を務めたことに加え、担当学生の体調不良が重なったこと、そして学生が復活した年度末には、新型コロナウィルス感染予防により研究時間が減り、さらには外部機関での機器測定ができなくなってきたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスによるテレワークなどが解除された後に、前年度に研究できなかったところを、少しずつでも行っていき、当初の研究目的の達成に近づけたい。
|
Causes of Carryover |
学会が新型コロナウィルスによる影響を受け中止になったこと、校費よりに出張費を支出できたこと、そして、同位体実験などの研究を行うための試薬や装置を次年度に持ち越したことによるもの。
|
Research Products
(10 results)