2019 Fiscal Year Annual Research Report
Multi-functional Rare Earth Catalysts for Precision Chemical Transformation
Project/Area Number |
17K05824
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
西浦 正芳 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (30332258)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 希土類アルキル錯体 / スカンジウム / 共重合 / 有機金属化学 / 高分子化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、優れた物性や新機能を持つ高分子材料の合成や高効率な物質変換反応を目指して、希土類の特異な性質を利用した高活性、高選択的な錯体触媒の開発を行っている。1,6-ジエンの環化重合は、環状ユニットを有するポリマーの有用な合成手法であり、位置および立体選択性がポリマー物性に大きな影響を与える。ヘテロ原子のない非極性のジエンと比較して、ヘテロ原子を有する極性ジエンの場合は、ヘテロ元素が触媒毒として働く場合があり、位置および立体選択的な重合反応はより困難だった。本年度は、スカンジウム触媒を用いて、エーテルユニットを有する4ベンジルオキシ-1,6ヘプタジエンの重合を行ったところ、1,2,4-シス-エチレンシクロペンタン骨格を有するポリマーが高いイソタクチック選択性(95%mmm)で得られた。一方、チオエーテルユニットを有する4フェニルチオ-1,6ヘプタジエンの重合を行ったところ、1,2-トランス,1,4-シス-エチレンシクロペンタン骨格を有するポリマーが高いイソタクチック選択性(95%rrr)で得られた。DFT計算の結果、スカンジウム金属とヘテロ原子との相互作用が、立体選択性において極めて重要な役割を果たしていることが明らかとなった。スカンジウム錯体触媒を用いて、1,1-二置換アルケンユニットを有するイミダゾール類を反応させることにより、エキソ選択的に分子内C-Hアルキル化反応が進行し、4置換炭素の構築を初めて達成した。また、キラルハーフサンドイッチ型スカンジウム触媒を用いることにより、不斉環化反応に成功した。
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