2020 Fiscal Year Annual Research Report
THz-driven low-temperature photoreaction dynamics of hydrogen-bonded networks
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17K05825
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 まさえ 東北大学, 農学研究科, 准教授 (80183854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 広志 東北大学, 理学研究科, 准教授 (30275292)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | テラヘルツ分光 / 第一原理計算 / 水和塩イオン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、応募者等が発見した温度依存テラヘルツ分光スペクトルに観測される水素結合ネットワークの形成開裂を指標に、テラヘルツ波を励起光とした低温光反応ダイナミクスを追跡し、人体に安全なテラヘルツ波の利点を活かした応用の道を開拓するものです。 初年度は結晶試料について弱い分子間相互作用を、次年度は生体適合性を示す非晶質試料について低温における振動吸収の挙動を、そして昨年度は結晶中の水和塩イオンにおける振動吸収挙動を調べました。今年度は昨年度の結果を解析し論文にまとめ発表しました。 今年度は、、水溶性ビタミンの1種であるチアミン結晶に水和塩イオンを捕獲して作成した結晶について、昨年度までに得られたSPring-8のBL43IRビームラインを用いた150-700cm-1のFIR領域のスペクトルと、THS-TDSを用いた20-100 cm-1のTHz領域のスペクトルを解析しました。水和塩イオンの特性は、化学的、生物学的現象において引き起こされるイオン効果にとって多くの意味をもつ基本的問題です。我々が作製した結晶についてのX線構造解析の結果および、第一原理計算による最適化構造の結果について、オーダーパラメータを計算し、結晶内に捕獲された水和水は興味深いことにバルク水と同じオーダーパラメータを持っていることがわかりました。また、第一原理計算による振動モード解析から、THzスペクトルに観測された2つの状態を示唆する温度変化は、水素結合パターンの違いによってよく説明されました。また、相対論効果を取り込むことで、テラヘルツ領域のピーク値は実験値との誤差は最大4 cm-1で精度良く求まりました。また、その他の温度依存を示すピークは、塩化物イオンの緩い結合、温度の上昇に伴う結合の伸長、弱い水素結合の開裂等による、塩化物イオンと水和水の周りの振動に関係していることがわかりました。
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Research Products
(3 results)