2018 Fiscal Year Research-status Report
Studies on spontaneous enantiomeric resolution by conformational change induced external stimuli
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17K05834
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 弘樹 京都大学, 人間・環境学研究科, 助教 (00321779)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 光異性化 / 多形 / 相転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究でラセミ体の外部刺激応答分子(アゾベンゼン誘導体)の結晶化を行い,外微刺激(本研究では光照射)による分子の構造変化を利用して溶液中の分子のホモキラルまたはヘテロキラル相互作用をコントロールすることで,自然光学分割を誘起する方法を確立することを目的とする. 今年度は昨年度合成したアゾベンゼン誘導体の第二高調波発生(SHG)測定を行った.SHG陽性であることは,結晶中にキラルな分子の集合が規則的に配置していることを示唆する.優先富化現象を示す化合物では,SHGが陽性であることがわかってきている.今回,20種類のアゾベンゼン化合物を合成した.このうち3種類の化合物がSHG陽性であった.これらの化合物の溶液から結晶が析出する過程を明らかにするために,その場粉末X線回折測定(in situ PXRD)を行った(フランス,ルーアン大学を訪問して測定を行った).In situ PXRD測定を光照射と無照射溶液で温度を変化させて行った.-20°Cでの測定では析出結晶が,光照射下では無照射と異なる回折パターンを与えることが明らかとなった.この析出結晶は,-20°Cでは長時間安定に存在することもわかった.温度を上げると無照射時に得られた結晶と同じ回折パターンを与え,相転移することが明らかとなった.また,結晶がコングロメレートとして存在する化合物を見いだした.これにより優先晶出法により光学分割するめどがたった
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
In situ PXRD測定はフランス,ルーアン大学で行ったが,当初9月に行う予定が,装置の故障により5ヶ月ほど遅れた.これに伴い,結晶化の過程を測定するのが遅れた. 候補化合物の合成は適切に進んでおり光物性等の基礎データの測定は終了している.また,コングロメレートとして存在する化合物が得られたことにより,優先晶出法により光学分割を行う目処がたった.また,SHG陽性化合物に光学分割実験を集中して行うことが可能になった.
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Strategy for Future Research Activity |
相転移を示したか化合物について:今後,溶媒や温度等の測定条件を変更して,in situ PXRD測定を行う.光照射を行い低温条件で単結晶作成を試みる.また,この化合物の共結晶を作成する. コングロメレートとして得られた化合物:優先晶出法による光学分割を行う.また,この化合物の類縁体の合成を行い,コングロメレートであるか調べる.結晶構造から,隣接する分子間の相互作用を調べ,計算化学によってどのような相互作用が,結晶化に影響を与えるか考察を行う. 光照射下での光学分割をおこない,優先晶出法が適用できるか否かを検討する.
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Research Products
(2 results)