2018 Fiscal Year Research-status Report
構造制御した固体光アップコンバージョン材料の三重項励起子拡散異方性の解明
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17K05852
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| Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
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Principal Investigator |
溝黒 登志子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (90358101)
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| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | 光物性 / 構造・機能材料 / 複合材料・物性 / 光アップコンバージョン / 励起子拡散長 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、三重項-三重項消滅(TTA)過程を利用した光アップコンバージョン(UC)を示す分子固体材料へ、制御された方法で異方性を導入することにより、その異方性が三重項励起子の拡散距離に与える影響を解明する。異方性を持たせた励起子拡散が可能になれば、三重項励起子の密度の低下を防ぎながらその伝達が可能になり、UC効率の向上等に繋がる。このため、基板上に配列制御したUC発光性薄膜を作製する方法を開発するとともにその構造評価、UC発光特性を調べる。さらに電流励起型UC材料を作製してその発光特性を調べることで、電流注入による励起子拡散の異方性を評価することができると考えられ、この評価法の開発を行う。これらにより三重項励起子拡散長の異方性の解明を進める。
平成29年度に膜厚方向に異方性を導入した発光体薄膜作製手法を開発しており、平成30年度はこの発光体薄膜に増感体として働く分子を混入することにより光UC材料薄膜を作製した。これらの光UC特性評価のため、光UC特性測定系の構築を行った。
さらに、次年度に実施予定であった電流励起型UCに用いる発光体材料の合成に着手して電流励起型UC薄膜の作製を行い、その輝度-電流-電圧特性評価とEL発光特性評価を実施した。この結果、三重項励起子由来と考えられるEL発光が観測された。次年度にこのEL発光の期限を詳細に評価する予定である。
これらの結果を基に、発光体分子の配向と三重項励起子拡散長との関係を調べる。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発光体にアルキル置換基を導入することで、膜厚方向に構造がある発光体分子薄膜の作製に成功しており、H30年度はこの薄膜中に増感体として働く分子を混入して光UC材料薄膜を作製した。しかし、光UC測定系の構築に時間を費やしたために、光UC特性の評価が当初予定よりも進捗が遅れている。一方、次年度に実施予定であった電流励起型UCに用いる発光体材料の合成に着手し、電流励起型UC薄膜の作製と輝度-電流-電圧特性評価とEL発光スペクトル測定を前倒しで実施できたため、おおむね順調に進捗しているといえる。
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| Strategy for Future Research Activity |
膜厚方向に配向制御した発光体薄膜に増感体を混入して作製した光UC材料薄膜の光UC特性を評価する。また、配向制御した発光体薄膜からなる電流励起型UC材料のUC特性を、主に輝度-電流-電圧特性評価および過渡EL測定等を用いて詳細に評価する。これらの結果から、発光体分子の配向と三重項励起子拡散長との関係を調べる。
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| Causes of Carryover |
真空蒸着装置に基板加熱機構を導入する予定であったが、材料の分子設計を工夫することにより発光体分子の配向制御を行う方向性で研究を遂行することとした。次年度は発光体材料(特に合成が困難な新規発光体)の合成費用に充てるとともに、光励起のUC特性評価に必要な高出力CWレーザー購入に充てる予定である。
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