2018 Fiscal Year Research-status Report
電解析出を利用した有機無機ハイブリッドダイオードの開発
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17K05853
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Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
渡辺 充 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究主任 (70416337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉井 聡行 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究主幹 (50416335)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 金属酸化物 / 電解析出 / 積層構造 / ダイオード特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
安価で簡便な装置で行うことができる電解析出法や、高分子電解質の交互積層法(LbL法)などを主とした溶液プロセスを、ダイオード、有機薄膜太陽電池、有機EL素子などのデバイス作製の工程に取り入れることを目的とし、有機物の薄膜を挟んだp-i-n接合を溶液プロセスのみで形成し、ハイブリッドダイオードとすることを試みた。昨年度、MoO3/LbL/TiO2という逆セルタイプの素子で比較的高いダイオード特性が発現することを明らかとした。これらの層のうち、MoO3層についてはまだよくわかっていないことが多いため、調査を行った。 10 mM Na2MoO4水溶液を、硝酸を用いてpH 2.0に調整した電解液に、ITOを作用極、Pt板を対極とした-0.25 mA/cm2の定電流電解で所定の電気量を通電した。析出した膜は青みがかった褐色であることから単純なMoO3ではなく、複数の酸化状態のモリブデンが混合したモリブデンブルーが生成し、共に析出しているとみられ、これはXPSの観察結果と一致する。FE-SEM像などの観察から、膜は全体に均一な膜厚で平坦に析出しており、ピンホールのような欠陥はみられない。膜は析出直後の状態ではアモルファスであり、300℃以上の加熱で結晶化した。この際、結晶の集積化によって膜の構造が不均一に変化することもわかった。析出直後の抵抗率は2.1x10^5 オームセンチであった。 ここで作製したダイオードの構成層はいずれも水溶液電解ないし浸漬で形成できることから、プリンテッドエレクトロニクスへの応用が期待できる。無線タグのような用途では、周波数応答性が重要であるため、周波数特性を測定したところ、5 mm角のサイズのデバイスにおける遮断周波数が約10 kHzであった。電極サイズを縮小することで実用的な周波数で動作するダイオードを作製できる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度にダイオードの作製が前倒しになったため、本年度の半分はMoO3膜に関する基礎的な研究を行った。その後、機能性物質のLbL膜への導入を試みたが、今のところ成功していない。その代わり、ワイヤレス給電デバイスへの応用の可能性が見出され、計画とは異なるが十分な成果が得られたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はLbL膜中に光機能性化合物を導入し、発電ないし発光デバイスとしての駆動を目指す。これは本年度にも試みて、成功していない。対策として、導入する化合物の選定のほか、LbL膜そのものの素材を見直すことを考えている。
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Causes of Carryover |
次年度は消耗品費の増大が考えられるため。 消耗品ではない物品の購入予定はなく、次年度使用額は全て消耗品費として使用予定である。
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Research Products
(1 results)