2017 Fiscal Year Research-status Report
4級不斉炭素を含む多環性縮環骨格の立体選択的構築法の開発と天然物合成への応用
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17K05857
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鈴木 敏夫 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80202133)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 天然物合成 / 閉環反応 / 多環性縮環骨格 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)非対称化による4級不斉炭素の導入を伴うエポキシドの閉環反応の多官能基化基質への展開 エポキシマロネートの閉環反応における多官能基化として、水酸基、exo-メチレンを導入した基質を検討した。その結果、モデル化合物と同等の反応性、収率で反応が進行することを見出した。一方、エポキシフェノールの閉環反応においては、エポキシドに隣接する水酸基を導入した基質の適用性を検討した。この場合もモデル化合物と同等の反応性、収率で反応が進行することが明らかとなり、同反応の汎用性、展開性を高めることに成功した。また、当初の研究計画にはあげていなかったが、異なる環サイズ形成への展開を検討した。これまで5員環形成において良い結果を与えていた気質、反応条件を6員環形成へ適用したところ、望む生成物は得られなかった。しかし、求核種をマロネートからマロノニトリルとしたところ、スムーズな閉環反応が進行することがわかった。 (2)非対称化による4級不斉炭素の導入を伴うエポキシドの閉環反応を鍵反応として適用した天然物合成研究 (1)の検討により調整可能となった合成中間体を用いて天然物合成研究を行った。exo-メチレンを有するエポキシマロネートの閉環反応により得られる鍵中間体から屈曲トリキナン型化合物、Pentalenolactone Fを、隣接水酸基を有するエポキシフェノールの閉環反応により得られる鍵中間体からLycopodiumアルカロイド、MagellanineおよびLycojaponicumineの合成研究を行った。また、エポキシマロノニトリルの閉環反応を鍵反応として適用した3環性アルカロイド、Lepadiformineの合成研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の進捗において基盤となる鍵反応の多官能基化への展開は、水酸基、exo-メチレンなどの官能基を有する基質に適用することがわかり、概ね順調に達成することができた。また、これら反応を鍵反応として適用した天然物合成研究として、屈曲トリキナン型化合物であるPentalenolactone F、LycopodiumアルカロイドであるMagellanineおよびLycojaponicumine、3環性アルカロイドのLepadiformineを進めているが、いずれも炭素骨格の立体選択的構築が達成されており、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進めている標的化合物の合成研究を継続する。合わせて、本研究で新たに見出したエポキシマロノニトリルの高い反応性に着目し、その天然物合成への展開を行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は、学会での成果発表に伴う国内旅費、および投稿論文に伴う外国語論文校閲、投稿料に係る経費の支出がなされなかったためである。平成30年度は、これら項目の支出の増加が予定されている。
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Research Products
(2 results)