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2017 Fiscal Year Research-status Report

ホウ素化学とケイ素化学のシナジーによる高機能デュアル元素型無機高分子の創出

Research Project

Project/Area Number 17K05876
Research InstitutionJapan Advanced Institute of Science and Technology

Principal Investigator

松見 紀佳  北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (40323745)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) VEDARAJAN R  北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (40638756) [Withdrawn]
Project Period (FY) 2017-04-01 – 2021-03-31
Keywords無機高分子 / ホウ素 / ケイ素 / センシング
Outline of Annual Research Achievements

有機ケイ素高分子や有機ホウ素高分子のような典型金属を主鎖に含む高分子材料群は、それらの特異な電子状態により伝導、発光、化学センシングを始めとする様々な興味深い機能を発現することから大いに研究が展開されてきた。しかし、これまでのところケイ素とホウ素の両元素を同時に主鎖に含む系は殆ど検討されていなかった。本申請研究では、ケイ素化学とホウ素化学との融合により、新たな電子状態を有する共役系やボロシロキサン骨格を有するポリマーなど、一連の新たなデュアルヘテロ元素型新規高分子を創出し、これまでの有機ホウ素系高分子、有機ケイ素高分子では達成されなかった性能・機能を両元素のシナジー効果により発現させる。
これまで約20年間にわたり有機ホウ素系高分子の機能創出に関わってきた。その過程でかなり多様な有機ホウ素ポリマーやゲルなどの材料を光電子機能材料やイオニクス材料として展開してきたが、同様の分野において多年にわたり研究されてきた有機ケイ素材料との複合化はこれまで十分に検討されておらず、種々のDFT計算を試みたところ両元素のシナジーによって思いのほかユニークな機能創出に結びつくであろうことを確信するに至った。また、ポロボロシロキサンや新たな共役系モードによるsigma-p共役系ポリ(ボラン/シラン)の創出にも成功している。本研究ではホウ素とケイ素の両元素を主鎖に有する新たなデュアル元素型無機高分子の創出やそれらの更なる機能創出について検討を進める。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

H29年度の研究の進捗としては、その研究の過程においてポリ(ボロシロキサン)の興味深い自己修復能を見出した。我々は既にポリ(ボロシロキサン)が極めて優れたフッ化物イオンセンシング能を水溶液中においても示すことを見出しているが、同ポリマーの自己修復能は耐久性の高いフッ化物イオンセンシングデバイスを構築する上で非常に有益であると期待できる。また、ポリ(ボロシロキサン)の自己修復においては、45oCの穏やかな温度条件において30秒以内の傷の自己修復が可能であり、高温処理も長時間の処理も必要としない実用的な使用条件で機能発現が可能であることが分かった。自己修復能の評価としては、走査型電子顕微鏡においても直接的に観測が可能であったが、インピーダンス測定においても評価を行った。チタン板にポリ(ボロシロキサン)を溶媒キャスト法でコートし、この電極を作用極、白金を対極としてインピーダンス測定を行った。測定当初は系は高い電極―電解質界面抵抗値を示したが、ポリマーコートの表面に傷をつけたところ、電極と電解液との接触が促され電極―電解質界面抵抗は大幅に低下した。しかし、45oCで30秒間の自己修復処理を行ったところ、電極―電解質界面抵抗はほぼ元通りに近い値まで回復し、高い自己修復能が電気化学的評価からも明らかとなった。また、チタンに対して腐食性の高い食塩水を電解液とした系においてポリ(ボロシロキサン)の表面コーティングが耐腐食性の向上に与える影響についても検討したところ、直線走査ボルタンメトリーの測定結果から非常に優れた腐食防止効果を示すことが示された。

Strategy for Future Research Activity

これまでの検討から、ポリ(ボロシロキサン)に関しては極めて優れたフッ化物イオンセンシング能や自己修復能を示すことが明らかとなっている。その性能を更に高める上で、異なる置換基を有したポリ(ボロシロキサン)のDFT計算や合成を行い、フッ化物イオンセンシング能の向上を試みていく。
また、ポリ(ボロシロキサン)に関しては、ポテンショメトリー測定において電極種を最適化する。グラシックカーボンを用いた現在の系では、検出範囲の一部においては完全なネルンスト応答ではなくサブネルンスト応答となっているため、より完全な検量線を与えられるように電極種との組み合わせをより詳細に検討を行う。加えて、これまでの系ではポリマーの膜厚のコントロール等は行っておらず、グラッシーカーボン電極上に溶媒キャストしたのみの系であった。膜厚のコントロールはセンシング挙動にとって極めて重要と考えられ、膜厚の制御とセンシング挙動への影響を明らかにする。さらにインピーダンス法によるセンシングや、水溶液中の支持電解質種の検討によりどこまで高感度化が可能か、詳細に検討する。
sigma-p 共役系高分子としてのポリ(シラン/ボラン)に関しても更なる長波長化に向けた分子設計を遂行する予定である。
更に新たなホウ素/ケイ素デュアル元素型高分子の合成や、ポリ(ボロシロキサン)、ポリ(シラン/ボラン)を含めた機能創出を行う方向で計画している。

Causes of Carryover

材料の特性評価において実施を急ぐべき状況が生じたため、材料合成のための経費に残額が生じた。H30年度においてポリ(ボロシロキサン)、ポリ(シラン/ボラン)、他の新規共役系材料の合成に使用を予定している。

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Published: 2019-12-27  

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