2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of in situ solid-state NMR system for magnetically oriented microcrystal suspension
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17K05882
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久住 亮介 京都大学, 農学研究科, 助教 (70546530)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 固体NMR / 磁場配向 / 微結晶懸濁体 / 化学シフトテンソル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,固体NMRの強磁場を活用して異方性化合物の三次元磁場配向をNMRプローブ内で達成し,液状媒体中での単結晶構造解析とダイナミクス評価を実現するin situ磁場配向NMRシステムを構築することを目的としている.最終年度となる令和元年度においては,主に以下の成果を得ることができた. 前年度に開発した磁場配向微結晶懸濁体(Magnetically Oriented Microcrystal Suspension, MOMS)のin situ固体NMRのためのプローブ(MOMSプローブⅠ)では,試料管の回転軸がNMR静磁場に直交した形で固定されているため,化学シフトの異方性(化学シフトテンソル)を完全な形で決定することができない.この課題を解決すべく,本年度では, MOMS達成のための試料管の変調回転軸に加え,その回転軸をNMR測定のタイミングで傾斜させる機構を備えたMOMSプローブIIを開発した.磁場による拘束力と配向ゆらぎの関係からMOMS下での固体NMR測定が可能か検証した上で,上記のような二軸可変型のMOMSプローブIIを設計・作製した.完成したMOMSプローブII用いてL-アラニン微結晶懸濁液のin situ固体13C CP NMR測定を行い,数十μmサイズの微結晶から媒体を固化することなく13C化学シフトテンソルを完全に決定することに成功した.既往の手法との比較を通じ,単結晶の正確な位置決めが困難な単結晶法や媒体の固化が必要な擬単結晶法に比べ,液状媒体中で三次元配向した微結晶をそのまま測定するMOMSのin situ固体NMRの方がより高精度にCSテンソルを決定できることが明確に示された.また,セルロースナノ結晶懸濁液のin situ固体NMRスペクトルを取得するなど,開発したin situ磁場配向NMRシステムの応用の可能性を例証することにも成功した.
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Research Products
(25 results)