2019 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of a hybrid electrochemical micro-cell and its application to the analyses of trace biological substances
Project/Area Number |
17K05892
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石田 晃彦 北海道大学, 工学研究院, 助教 (20312382)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 電気化学分析 / 電極 / ウォールジェット / 数値シミュレーション / HPLC / フローセル |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に作製した同心円型アレイ電極を組み込んだウォールジェットセルの応答挙動を明らかにするため電流値と流量の関係を検討した。様々な流量でモデル物質の溶液をセルに導入して電流値を測定したところ,電流値と流量の両対数プロットの傾きから,電流値は流量の2/3乗に比例することが明らかとなった。これは,円盤型電極を組み込んだ従来のウォールジェットセル(3/4乗に比例)やチャンネルフローセル(1/3乗に比例)とは異なる挙動であった。このことは,本セルの応答挙動の特徴を示すものであるが,理論的考察については今後の課題とした。
次に,このセルを小型HPLCシステムの検出器に応用した。小型HPLCシステムは,我々がこれまでに開発したもので,その分離部(小型カラム)および検出部を小型基板に組み込んで一つの小型モジュールとしているところに特徴がある。本研究では,セルをこのモジュールに組み込んだHPLCシステムを構築し,いくつかのモデル物質で良好に分離と検出ができることを確認した。 つづいて,上記のシステムを用いてドーパミン,エピネフリン,ノルエピネフリンの分離・検出を試みたところ,すべての成分はベースライン分離され,ドーパミンの検出限界は,0.8 nM (S/N = 3)であった。この検出限界は血中濃度と同等であることから,本研究で開発したセルは,特別な前濃縮を必要としない優れた感度をもつことを示している。
本研究では,独自の着想に基づいて,同心円型アレイ電極からなるウォールジェット式電気化学セルを開発し,これが微量生体成分のHPLC分析に有用であることを実証した。生体成分には,電気化学的に検出できるものが多いことから,検出セルに関する本研究の成果が小型HPLCシステムと融合することで,近い将来,医療現場でのポイントオブケア検査に大いに貢献することが期待される。
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Research Products
(3 results)