2018 Fiscal Year Research-status Report
酸化剤を用いたDNAメチル化率のピンポイント解析法の開発
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17K05911
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
加藤 輝 東京工科大学, 応用生物学部, 教授 (00367195)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / メチル化 / メチルシトシン / がん診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、定量的PCRによるシトシン/メチルシトシン識別のための最適な反応条件を検討した。p16遺伝子由来の2種類の標的DNA(それぞれ64塩基、75塩基の鎖長)を使用した。標的DNA中の1塩基のシトシン/メチルシトシンがthree-way junction(TWJ)構造の分岐点上に位置するように設計した2本のプローブDNAを標的DNAに結合させ、この状態で過マンガン酸カリウムを加えて分岐点上のメチルシトシンを1時間酸化した後、還元剤DTTにより過剰の過マンガン酸カリウムを分解し、標的DNAを鋳型として定量的PCRを行った。昨年度の検討でシトシンとメチルシトシンのCt値の差が最も顕著だったpH5.0で酸化を行い、酸化反応時のナトリウムイオン濃度と、酸化反応後のPCR溶液調製時の希釈倍率を検討した。その結果、酸化反応時のナトリウムイオン濃度200 mMまたは250 mM、酸化反応後の希釈倍率5倍(PCR溶液中のナトリウムイオン濃度40 mMまたは50 mM)でCt値の差が6~7となり、最も顕著な差が得られた。 本解析法では、2本のプローブDNAと標的DNAが形成するTWJ構造の安定性が、分岐点上のメチルシトシンの酸化反応効率と検出感度に影響すると考えられる。そこで、標的DNAの配列とは無関係に任意に設定できる「ステム部分」の鎖長とTWJ構造の分岐点周辺の配列を検討した。その結果、ステム部分の鎖長は10塩基程度が最適であることが分かった。また、分岐点上の3つの塩基対周辺については、余分な塩基のない、所謂フルマッチのTWJを形成するプローブDNAが最適であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた「TWJを形成するプローブDNAのデザインの検討」を実施し、良好な結果が得られた。一方、実施予定だった「2本鎖標的DNA中のCpGメチル化の検出」は検討できなかったが、今年度の反応条件の詳細な検討により、当初の予想より顕著にシトシン/メチルシトシンを識別できる条件が確立できたため、31年度は当初の予定通り研究を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
血液・腫瘍組織などからゲノムDNA を抽出してメチル化を解析する場合、メチル化率が重要な指標となる。メチル化/非メチル化ヒトゲノムを用いて、ゲノムDNA 中の特定のCpG メチル化率を定量的PCR により解析する。ゲノムDNAのメチル化を検出するためには、2本鎖DNA中のシトシン/メチルシトシン周辺にプローブDNAを結合させてTWJを形成させる必要がある。そのためには、2本鎖標的DNAを部分的に解離させなければならない。このために最適なプローブDNAの濃度、熱変性の条件、塩濃度などを検討する。熱変性の条件検討を効率良く網羅的に行うため、温度グラジエント機能付きサーマルサイクラーを使用する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた「「2本鎖標的DNA中のCpGメチル化の検出」」を行わなかったため、次年度使用額2,979円が生じた。この次年度使用額も、31年度分の請求額と合わせて、「今後の研究の推進方策」に記載の内容を行うための試薬、消耗品の購入に使用する予定である。
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