2017 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of unknown proteins coded in glucoside -3- dehydrogenase operon
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17K05924
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
津川 若子 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80376871)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | サブユニット / グルコシド 3-脱水素酵素 / 分子内電子伝達 / フラビンアデニンジヌクレオチド / 鉄イオウクラスター / ヘム / 分子間電子伝達 / 直接電子移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
グルコシド-3-脱水素酵素(G3DH)は、アルドヘキソースのC-3位を酸化する特異な部位特異性を有する。このため、C-1位に水酸基を持たない糖の計測、誘導体の合成等の応用研究が進められてきたが構造・機能上不明な点が多い。H29年度はG3DH触媒サブユニット(subunit I)および同一オペロン上にある小タンパク質CYTcの機能を明らかにした。 1) subunitIの鉄硫黄クラスターの存在: Rhizobium radiobacter由来G3DHオペロンよりsubunit Ⅰ、Ⅱをクローニングし大腸菌で共発現、精製した。SubunitI,IIは1:1で複合体を形成することをゲルろ過クロマトグラフィーおよびSDSPAGEで確認した。本複合体の酸化体・還元体のEPR分析の結果、3Fe-4S型の鉄硫黄クラスターを有し、基質であるα-メチルグルコシド(MG)の添加によって鉄硫黄クラスターの還元が見られた。 2) CYTcの機能: R. radiobacter由来G3DHオペロンよりCYTcをクローニングし大腸菌で組換え生産、精製した。酸化型SubunitI,II複合体、CYTc、MGをインキュベートすると、還元型シトクロムcに由来するスペクトルが観察された。G3DHのCYTc還元酵素活性は、ミカエリス=メンテン型の曲線を示しCYTcに対するKm値は数μMだったことからCYTcはG3DHのサブユニットではなく遊離の外部電子受容体であることが示された。 1),2)から、基質→FAD→鉄硫黄クラスターの順の分子内電子伝達、続いてCYTcへの分子間電子伝達が立証された。 3)G3DH複合体のCYTcを介した直接電子移動: G3DH複合体およびCYTcを混合し架橋により固定した電極は電位を印加すると電子メディエーターなしでもMG濃度に応じて電流値が増加し、電極への直接電子移動が観測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Subunit I(計画書ではORF1と記載)中の鉄硫黄クラスターの存在をEPRにより確認でき、3Fe4S型であることも確認できた。またCYTc(計画書ではORF3と記載)がシトクロムcであることをスペクトル測定により確認でき、G3DHの電子授受のパートナーになりうることを明らかにしただけでなく、サブユニットではないことも明らかにした。 Subunit IがCYTcを介して電極へと電子伝達を行うことが確認できた。 これにより、計画にはない、直接電子移動型酵素として応用が可能となる可能性が示せた。 一方、subunit Iの構造予測が進んでいない。これはテンプレートとして考えた構造既知のタンパク質の配列とSubunit Iとのホモロジーの低い部分があるため、構造予測が単純ではないことに起因する。
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Strategy for Future Research Activity |
1) SubunitII(研究計画書ではORF2と記載)の役割を明らかにする。 Halomonas sp.由来G3DHのSubunit IIをはじめとして、subunit II配列を交換したG3DH複合体を構築し、ヒッチハイカータンパク質としての機能として細胞ノペリプラズム画分への輸送とフォールディング、安定性に対する影響、ヘムまたは人工電子受容体に対する電子伝達能を評価し、機能に関与するアミノ酸残基を明らかにする。
2) G3DHの立体構造のモデリングを行い、C-3位の水酸基を認識する機構の考察、電子メディエーターのアクセス経路の検索を行う。本来H29 の成果とする計画であったが、立体構造のモデリングが若干困難であり計画より遅れている。基質結合部位と電子メディエータアクセス経路のうち構造予測のしやすい方から進めていく。X線結晶構造解析を共同研究により進行させることも視野に入れる。
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Research Products
(3 results)