2018 Fiscal Year Research-status Report
蛍光分子の2段階成熟による環境応答性センサー型分子の取得
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17K05925
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
瀧 真清 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (70362952)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Keep-on型蛍光分子ライブラリー / シッフ塩基 / 加水分解 / ヒト血清アルブミン(HSA) / サイズ排除クロマトグラフィー / LC-MS/MS |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度にて濃縮・ヒットしてきた化合物を化学合成し、LC-MS/MS測定等により同定したのち蛍光測定を行うことで、上記の化合物が標的以外の蛋白質には結合せず、標的蛋白質に結合する際のみに蛍光応答するかどうかを検討した。その結果、予期していた蛍光応答自体は観察できたものの、結合特異性および結合力の両面において当初期待していた数値をクリアすることができなかった。前年度に作製したTICT型分子ライブラリーの分子構造の多様性に限界があることが主因と判断し、これを用いるかわりに、新規環境応答性蛍光分子ライブラリーのコンビナトリアル合成を改めて行い、標的に対するスクリーニングを行った。具体的には、標的結合性蛍光分子の構造にシッフ塩基を採用することにより、あえて加水分解するように設計をした蛍光分子ライブラリーを作製した。これにより蛍光分子が標的蛋白質と結合する時のみ疎水性環境下に入ることにより加水分解から逃れ蛍光性を維持し、結合しない時には加水分解され蛍光を失う特性を持たせた。次に、本ライブラリーをモデル標的蛋白質であるヒト血清アルブミン(HSA)と混合したのち、サイズ排除クロマトグラフィーにより、HSAと結合した蛍光分子群を選択した。更に、各々の化合物をフォトダイオードアレイ付きLC-MS/MSにて分離・同定したのち、HSAと結合したときのみ蛍光性をもつ結合体を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の申請書にて提案したTICT型環境応答性蛍光分子ライブラリーの代わりに、Keep-on型蛍光分子ライブラリーの作製を新たに行うことにて課題をバイパスし、モデル標的蛋白質に対する結合体を得ることができ、成果をAnal. Bioanal. Chem.誌(2018)にて速報として発表したため「おおむね順調」と区分した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きKeep-on型蛍光分子ライブラリーの種類を拡張し、HSA以外の様々な生体高分子を標的として、これらに対して特異的に結合させることで蛍光センシングする技術の確立を目指す。並行して、新規環境応答性蛍光分子ライブラリーを作製し、同様の手法にて選択を行っていき、最終的には当初の申請書に記載した2段階成熟技術を確立する予定である。
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Causes of Carryover |
蛍光分子ライブラリーの見直しを行ったため、申請書の研究計画・方法欄に当初記載した、(HSA以外の)様々な生体高分子を標的とした一般性検証実験を本年度行っておらず、そのための消耗品等の予算執行を行っていないため次年度使用額が生じた。先述したようなバイパスを行うことで、本年度なるべく早い段階にてこれを執行する。
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