2017 Fiscal Year Research-status Report
光合成超分子複合体のエネルギー受容型膜タンパク質を両親媒性合成色素に置換する
Project/Area Number |
17K05940
|
Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
佐賀 佳央 近畿大学, 理工学部, 教授 (60411576)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 光合成 / エネルギー移動 / 緑色光合成細菌 / バクテリオクロロフィル / クロロフィル |
Outline of Annual Research Achievements |
自然界の優れた太陽光エネルギー変換システムである光合成系における光エネルギー捕集・伝達の高効率化の基盤の要因のひとつは、色素複合超分子の間の緻密な連携であることから、異種の光合成色素複合超分子の間でのエネルギー移動機構の理解は光合成システムの機構解明にとって重要である。そこで本研究では、緑色光合成細菌の光捕集システム・クロロゾームにおける内部の色素自己会合体から表面の色素結合膜タンパク質への励起エネルギー移動に着目した研究を推進している。この光合成系に関する研究の問題点として、クロロゾーム表面の色素結合膜タンパク質の改変が難しいことが挙げられる。そこで、クロロゾーム表面のエネルギー受容型膜タンパク質を両親媒性の合成色素に置換する方法論を開発するための研究を進めた。 クロロゾーム内部の色素自己会合体で吸収したエネルギーを受容するうえで重要な役割を果たしているクロロゾーム表面の色素結合膜タンパク質を両親媒性の合成色素で置換するために、クロロゾーム脂質膜でエネルギーアクセプターとして機能しうる複数種の両親媒性色素分子を、天然に存在するクロロフィルaとバクテリオクロロフィルaを原料として合成した。このときに、両親媒性を付与するために誘導体のエステル鎖部分に導入したポリオキシエチレン鎖の長さを系統的に変化させた。また、緑色硫黄光合成細菌から単離精製したクロロゾームをアルカリ条件で処理することによってクロロゾーム表面のエネルギー受容型膜タンパク質を選択的に除去し、合成した両親媒性色素分子とインキュベーションし、そのときの条件を詳細に検討することで両親媒性の合成色素をクロロゾーム膜に導入した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、緑色硫黄光合成細菌のクロロゾーム膜面で機能するエネルギー受容型膜タンパク質の代替となりうる両親媒性の機能分子の合成を計画しており、実際にクロロゾーム内部からの励起エネルギーを受け取れる両親媒性の機能分子を複数種、合成した。また、合成した両親媒性色素分子の一部を、エネルギー受容型膜タンパク質を取り除いたクロロゾームへ導入できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究がおおむね順調に進展していることから、今後も当初の計画通り研究を推進する予定である。すなわち、クロロゾームのエネルギー受容膜面を両親媒性色素分子で置換する方法論の開発を推進し、クロロゾームにおける内部から膜面への励起エネルギー移動メカニズムに関する知見を得ることを目指す。
|
Causes of Carryover |
本研究に関するアルバイト実施に伴う謝金等の支払い手続きを次年度(平成30年4月)に行う。
|