2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study on Inhibitory Effect of Degradation of Thermosetting Resin Composite by Filling Inorganic Ion Exchanger.
Project/Area Number |
17K05980
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
酒井 哲也 日本大学, 生産工学部, 教授 (70376961)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ゼオライト / イオン交換 / プラスチック / 耐食性 / 分解 / エポキシ樹脂 |
Outline of Annual Research Achievements |
イオン交換機能を有する粒子を熱硬化性樹脂に充填し、耐久性のコントロールを目的として研究を行った。 劣化抑制効果の検討として陽(ナトリウム及び水素)イオン交換合成ゼオライトを充填したアミン硬化エポキシ樹脂を硫酸環境において浸せきした結果、エポキシ樹脂単体や硫酸と反応しないアルミナ粒子を充填した試験片より、硫酸の浸入を抑制する効果が確認された。特にプロトンタイプのゼオライトを充填した材料はエポキシ樹脂単体よりも約2倍の向上が見られた。実際にこのアミン硬化樹脂は下水道環境において微生物が生成する硫酸によるコンクリートの腐食を抑制するためにライニング材として使用されている。この樹脂を塗布するためには、粘度の調整が必要である。例えば、粘度が低い場合は塗布後、硬化する前に液だれを生じ、均等な塗布は困難である。このような場合に、調整として粒子を入れ粘度を上昇させることがよく行われている。しかし、前述したとおり、硫酸と反応しない粒子であっても樹脂‐粒子界面に沿って硫酸は浸入し、樹脂単体よりも促進されてしまう。しかし、このゼオライトを充填することにより、粘度の上昇と耐食性が向上することから、コストが高いことが問題ではあるが、実用される可能性が高い。 劣化促進効果の検討として、陽(ナトリウム及び水素)イオン交換合成ゼオライトを充填したアミン硬化エポキシ樹脂を中性塩である塩化ナトリウム水溶液、硫酸ナトリウム水溶液において浸漬させた結果、このゼオライトを充填した材料、特に水素イオンタイプのゼオライトを充填した材料はエポキシ樹脂単体に比べて質量の減少が大きかった。これは中性塩をゼオライトがイオン交換することで、酸を生成し、樹脂を分解させる効果が示唆される。以上の結果から樹脂の分解への適用へも期待できる結果を得た。
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Research Products
(1 results)