2017 Fiscal Year Research-status Report
Organo-modified nanodiamond with excellent heat-resistance - nanodispersion in crystalline transparent polymer -
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17K05986
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
藤森 厚裕 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (00361270)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ナノダイヤモンド / 表面改質 / 高分子/有機化ナノ微粒子複合体 / 長鎖ホスホン酸修飾 / フッ素化ホスホン酸修飾 / フッ素樹脂/フッ素化ナノダイヤ複合体 / ナノ分散 / 混和性 |
Outline of Annual Research Achievements |
長鎖ホスホン酸により,最外層表面に有機鎖修飾を施した,表面改質ナノダイヤモンドを創出した.ホスホン酸は,ナノダイヤモンド表面の吸着水層に対し,二座型のP-O-結合により配位した影響で,昇温時の脱着温度が350℃まで抑制された.このことにより,高融点の機能性高分子に対する,「溶融混練法」が可能になり,結果として,ナノダイヤモンド微粒子を均一に分散させた,ポリマー/ナノフィラーコンポジットの創製が可能になった.これまで,長鎖カルボン酸修飾ナノダイヤモンドは,155℃の昇温条件で,表面の修飾鎖が脱離してしまった.故に,この温度を超える融点をもつ高分子と溶融混練した場合,表面の修飾鎖が失われ,有機高分子中にナノ粒子が分散することが出来なかった.今回の長鎖ホスホン酸修飾ナノダイヤモンドの創出により,例えば,230℃の融点をもつ透明ポリマー,ポリ(4-メチル1-ペンテン)中にも,その透明度を損なわない良分散状態でナノ複合化させることが可能になった.この結果,ポリマーの力学物性や耐熱性の向上と共に,ナノ粒子の特性でもある高屈折率性/画像投影能が付与されることになった.更に加えて,ナノダイヤモンド表面との結合部位がポスホン酸誘導体であれば,有機成分の高温維持が保たれることを利用して,フッ化炭素鎖含有ホスホン酸誘導体での表面改質と,得られたフッ素化ナノダイヤモンドのフッ素樹脂中分散を試みた.フッ素化ホスホン酸は300℃までは有機鎖の脱離を抑制することが出来た.従って,ETFE(エチレン-四フッ化エチレン,m.p. 260℃)共重合体やPFA(パーフルオロアルコキシアルカン,m.p. 280℃)と言った,スーパーエンジニアリングプラスチックとのナノ複合化を志向した.結果として,マトリックス高分子中の粒子凝集サイズが50 nm程度まで抑制された,良分散性のナノ複合体の創出に至った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ステアリルホスホン酸修飾により,有機化ナノダイヤモンドの有機鎖脱着温度を350 ℃まで向上させる狙いは,ほぼ当初見込み通りで,この材料が得られることで透明高分子フィルム中に均一分散が達成できるだろうことも,当初見込み通りに達成された.また,この結果,通常は透明でも画像投影時のみスクリーン化可能な映写シートの創製も期待通りに達成することが出来た.期待以上の成果であったのは,フッ素化ホスホン酸修飾ナノダイヤモンドが,結晶性フッ素樹脂中に良分散状態を達成できたことである.フッ素樹脂はそれ自体,産業的にスーパーエンジニアリングプラスチックと称される高機能性材料であるが,炭化水素系物質や無機物質とは顕著な相分離性を示すため,殊,微粒子複合化による機能増強の実例は乏しかった.しかしながら,フッ素化ホスホン酸が300 ℃の有機鎖脱離抑制温度を担保したため,部分フッ素化ETFE樹脂や全フッ素化PFA樹脂との,溶融混練によるナノ複合化が可能になった.先行研究により,当該研究グループは全フッ素化結晶性樹脂,並びに部分フッ素化結晶性樹脂を高温延伸により透明化する技術を保有していた.従って,本課題の成果との融合から,透明で耐熱性の高い高分子系ナノ複合材料の創出に至った.また,ETFEやPVDF(ポリフッ化ビニリデン)系共重合体に,良分散性のナノ粒子複合化により,全フッ素化樹脂と同等以上に耐熱物性/力学物性を付与できれば,地球環境やコスト面での負荷を低減した,マテリアル・イノベーションの達成に繋がる.環境や健康被害を及ぼすフッ素系低分子の発生や,原料である鉱産資源・蛍石の価格高騰化の問題を見据え,低フッ素含量の樹脂の物性が向上に至る術を提案できた事実は,本課題の順調な進展を示していると言えよう.
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Strategy for Future Research Activity |
2つないしは,3つの観点から,今年度の成果を受けた推進方策を提案できる. 1つは,キャラクタリゼーションの問題である.初年度は,先ず「成果」としてのモノづくりを優先し,目指す物性の材料がある程度創製できた.しかし,厳密には,修飾部位の官能基構造は同一ながら,末端有機鎖の化学構造の差異によって,昇温脱離の物性が左右されている.考えられるのは,「修飾率」と「被覆率」の差異であり,かつ,末端鎖が柔軟な炭化水素鎖と,剛直で棒状のフッ化炭素鎖である場合,修飾粒子間の相互作用が異なり,そうした粒子間の親和性や凝集性の差異が,昇温脱離温度に影響したと考えられる.このことからより学術的に,得られた有機化ナノダイヤモンドの修飾状態と物性への影響を定量化すべきと考える.このことから,有機化ナノダイヤモンドの単粒子層・累積粒子層を形成させ,形態や配列,昇温時の秩序維持性と,修飾率の層間を解明していく. 次に,耐熱性有機修飾ナノダイヤモンドは,樹脂中分散のみならず,溶剤中分散を達成できることによって,潤滑剤や研磨剤としての活用の道も開けてくる.活用される地域によっては,潤滑剤のベースオイルの温度が過熱化することから,高温基油中でも安定に分散し続けられるナノ粒子の提案が急務である.従って,次年度は樹脂中分散のみならず,溶剤中分散性の追求も行い,修飾状態へのフィードバックを実施していく.特に,無極性溶剤中への分散は,修飾率よりもフッ素成分での粒子被覆が有効に働く傾向を見せており,極性溶媒中での高効率な炭化水素鎖被覆の要求とは異なる. 以上のことから,修飾ナノダイヤモンドのキャラクタリゼーション(被覆・修飾率と単粒子層/多粒子層挙動),更には潤滑剤応用に資する溶剤中分散の追及を推進方針として挙げる.
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[Journal Article] Synthesis of semicrystalline poly(guanamine)s based on 2-substituted-4,6-dichloro-1,3,5-triazine with alpha, omega-alkylene diamines, and the formation of cyclic tetramers2018
Author(s)
Y. Shibasaki, T. Kotaki, T. Bito, R. Sasahara, N. Idutsu, A. Fujimori, S. Miura, Y. Shidara, N. Nishimura, Y. Oishi
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Journal Title
Polymer
Volume: 146
Pages: 12-20
DOI
Peer Reviewed
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