2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of new toughened epoxy nano-composite using brush-like silane chain
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17K06006
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 吉伸 大阪工業大学, 工学部, 教授 (70298800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 秀司 大阪工業大学, 工学部, 教授 (70434785)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 複合材料 / シリカ粒子 / エポキシ樹脂 / 界面 / シランカップリング剤 / 破壊靱性 / 強度 |
Outline of Annual Research Achievements |
エポキシ樹脂の強度,強靱性(耐クラック進展性)の向上のためにシリカ粒子充てんエポキシ樹脂の力学特性と破壊靱性におよぼすシランカップリング剤の添加効果を検討した。結合型,ハイドロカーボン型,フルオロカーボン型の3種類のシランカップリング剤を比較した。結合型はグリシドキシ基やアミノ基のエポキシ樹脂と反応する官能基を,他は疎水基を有している。ハイドロカーボン型,フルオロカーボン型で鎖の長いシランカップリング剤はブラシ状でシリカ粒子表面に存在する。シリカ粒子は10~50 wt%添加した。まず,シリカ粒子なしのエポキシ樹脂でこれらのシランカップリング剤の添加効果を検討した結果,3点曲げ試験の破壊強度,破断伸度,破壊靱性値を向上させることが分った。つまり,シリカ粒子/エポキシ樹脂界面の接着ではなく,エポキシ樹脂相の改質による力学特性や破壊靱性の改良効果があることが分った。シリカ10 wt%では強度や破壊靱性へのシランカップリング剤の種類の影響は明確でなかったが,30 wt%以上では,強度向上には結合型シランカップリング剤が優れていたが,破壊靱性向上にはハイドロカーボン型,フルオロカーボン型のシランカップリング剤が優れていた。吸水率を低下させる因子も検討した。シリカ添加量とともに吸水率は低下した。吸水率低減の効果は,ハイドロカーボン型≧フルオロカーボン型>結合型であった。また,界面の接着よりエポキシ樹脂相の改質の方が効果的であった。従来は,いずれも界面の接着がより効果的と考えられていた。添加法として,前処理法(予め粒子の表面処理を行う)とインテグラルブレンド法(エポキシ樹脂,硬化剤,シリカ粒子等の全成分を同時に混練する)を結合型とハイドロカーボン型で比較した結果,インテグラルブレンド法の方が吸水率低減に効果的であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シリカ粒子充てんエポキシ樹脂の複合材料において材料強度の向上には結合型のシランカップリング剤が,破壊靱性の向上にはハイドロカーボン型,フルオロカーボン型のブラシ状のシランカップリング剤が有効という当初予想した結果が得られた。吸水後の性能低下も抑制する必要があるので,吸水性におよぼす因子も検討した結果,界面の結合よりハイドロカーボン型,フルオロカーボン型シランカップリング剤が有効,エポキシ樹脂相の改質>界面の接着,添加法もインテグラルブレンド法(同時混合)>前処理法という,従来の複合材料の概念の全く逆の学問的,工業的に有用な知見も得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は,ブラシ状シランカップリング剤鎖でシリカ粒子充てんエポキシ樹脂の強靱性をさらに向上させるためのエポキシ樹脂の組成やブラシ鎖長の最適化,強靱性向上メカニズムの検討を行う。また,材料強度,強靱性,吸水性のバランスの優れたシリカ粒子充てんエポキシ樹脂についても検討する。
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Causes of Carryover |
昨年度末に計画した鎖長の異なるブラシ状シランカップリング剤試薬の一部が品切れであり,今年度に検討を持ち越したため。今年度,これを購入して検討を行う。
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Research Products
(4 results)