2018 Fiscal Year Research-status Report
磁性可視光応答光触媒の活性メカニズムの解明と高活性化
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17K06012
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
手塚 慶太郎 宇都宮大学, 工学部, 准教授 (00334079)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | セラミックス / 光触媒 / 磁性 |
Outline of Annual Research Achievements |
光触媒の研究は酸化チタンを中心とする不対電子を持たない金属酸化物の研究が主流であり,不対電子を持つ遷移金属酸化物を用いた研究は遅れている。酸化チタン等の従来の光触媒が非磁性体であったのに対して,不対電子を有する化合物は磁性体である。このことから,不対電子を持つ遷移金属酸化物は,磁性機能を付加した光触媒の特徴を持つ磁性光触媒となり得る。このため,私達は,不対電子を持ついくつかの鉄複合酸化物に可視光応答性を有する光触媒活性があることを明らかにしてきた。しかし,これら磁性光触媒に関する研究は非常に少なく,これらの鉄複合酸化物の光触媒活性や反応機構については未解明な部分が多い。 H30年度は,昨年度に続き,数種の鉄複合酸化物の固溶体の精密合成に成功した。同じ化合物でも合成条件を変えることでメタノール分解と酢酸分解反応に関して光触媒活性に大きな違いが見られることを明らかにした。磁性光触媒の光触媒活性の再現性の問題を新たな工夫である程度安定化させることに成功した。助触媒の効果についてもある程度検討を行った。さらに昨年度と同様に,これら固溶体の結晶構造の精密化も行い,固溶に伴う結晶構造の変化の傾向を詳細に把握できた。UV-VIS拡散反射スペクトル測定を行い,光学バンドギャップを求め,固溶量に伴うバンドギャップの変化の傾向を明らかにすることができた。また,XPS測定により,価電子帯上端の状態についても調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H30年度は,昨年に引き続き数種の鉄複合酸化物の固溶体の精密合成に成功し,光学特性や光触媒活性の測定に成功している。最終年度の検討事項である高活性化の合成条件もある程度検討できている。しかし,電子構造の詳細な検討が少し遅れている。このような状況から総合的には上記の区分になると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は概ね予定通りであるので基本的には当初の計画通りに進める予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)昨年度と同様に初年度に使用予定の電子構造に関する物品が計画時と予算が変更になり,次年度使用額が生じている主な理由となっている。 (使用計画)光触媒の合成に関係する原料等の物品,電子構造の測定と計算に関係する物品,評価に関係する物品の購入を予定している。これ以外には学会出張の旅費,機器のレンタル料,学会誌掲載料を計上した。
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Research Products
(1 results)