2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the structure of carbon electrodes for high-capacity/high-rate sodium ion battery
Project/Area Number |
17K06017
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
後藤 和馬 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (20385975)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 炭素材料 / 固体核磁気共鳴 / ナトリウムイオン電池 / 黒鉛層間化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はナトリウムイオン電池において負極炭素の容量向上の鍵を握る内部ディフェクト空間でのナトリウムイオンの吸蔵挙動を明らかにすること、高速充放電電池の切り札と期待されるアルカリ金属-有機分子共挿入系黒鉛電極における分子のダイナミクスを固体NMRを用いて解析し、アルカリ金属の拡散挙動を解明することで高速充放電の原理を解明することを目的として研究を行った。 スクロースより作製した炭素の炭素化(熱処理)温度を変えることで、内部空間に吸蔵されるNaクラスターの金属性が変化することを23Na NMRにより明らかにした。熱処理温度の上昇により炭素の内部空間サイズが拡大すると、細孔内に形成される擬金属Naクラスターのサイズも拡大し金属性が増すこと,2000℃熱処理炭素ではNaはほぼ金属と同じ状態となることを明らかにした。また環状エーテルとNa・Kが導入された三元系黒鉛層間化合物について、層内での環状エーテルの運動状態を1H NMRにより詳細に調べた。第一原理計算によるエーテル―金属錯体の安定構造に関する解析結果と併せ、層内における金属-有機分子錯体の構造を明らかにし、この金属―有機分子錯体の高い拡散性が高速充放電を可能にしていることを示した。そのほかリン(P)負極中のNaの吸蔵様式を23Na, 31P NMRにより明らかにし、論文にまとめ出版した。 2020年度にはリチウムイオン電池,ナトリウムイオン電池のオペランドNMR分析法の開発を進めた上、特に過充電時の負極上での金属(ナトリウム)析出過程を示し、炭素へのリチウム挿入との違いを明確化した。ハードカーボンを負極に用いたNa電池が過充電された場合、ある程度まではハードカーボンの内部細孔がナトリウムを擬金属クラスターとして所蔵し、デンドライト析出を抑制するバッファーとして作用することを明らかとし、論文として出版した。
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