2017 Fiscal Year Research-status Report
Slow-photon effects in inverse-opal TiO2 photocatalysis: evaluation by electron spin resonance spectroscopy
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17K06018
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
駒口 健治 広島大学, 工学研究科, 准教授 (80291483)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 低速フォトン効果 / フォトニック結晶 / 光触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,オパール型テンプレートを作成し,二酸化チタン(TiO2)の逆オパール型(IO)フォトニック結晶作成の条件の最適化を行った。 (1) フォトニック結晶作成用のテンプレート 当初,TiO2-IO構造作成のためのテンプレートにポリスチレン(PS)単分散球(ナノ・ミール(株) PS20V, 粒子径200 nm)を用いた。ところが,PS単分散球は高価かつ納品に日数を要する可能性もあるため,TiO2-IO構造を作成する条件の最適化や大量合成に必要な量を迅速に確保することが難しいことが判明した。そこで,原料が安価で,単分散球の合成も比較的簡単なポリメタクリル酸メチル(PMMA)に変更した。まず,PMMA単分散球の合成を行い,重合時のモノマー仕込み比を変えることで,粒径の異なる3種類の単分散球を得た(190,265,320 nm)。次に,粒径190 nmの単分散球の懸濁液(2 wt%,溶媒:水)を4 h超音波処理し,24 h遠心分離処理(約1500 rpm)した後,上澄み液を取り除き,残留物を50℃で1日乾燥することでPMMAオパール構造を得た(SEM観測により確認)。PMMA粒子同士を強く結着させるため,乾燥後,80℃で加熱処理を30 min行った。 (2) TiO2フォトニック結晶(IO構造)の作成 TiO2前駆体溶液(チタン (Ⅳ) イソプロポキシド5 ml, EtOH:83 ml, 濃HCl:1 ml)をPMMAテンプレート内の空隙に浸潤させ,大気下で24 h放置し,前駆体をゲル化させた。高品質のIO構造を得るため,浸潤-操作の操作を繰り返した(最高7回)。焼結には,ステンレス箔を巻いた燃焼ボードを用い, 1℃/minで480℃まで上昇させた後,480℃で4 h焼結を行うことでTiO2-IOの作成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初,ポリスチレン単分散球(市販品)を用いてオパール型テンプレートの作成を行っていたが,予算の都合により,独力でPMMA単分散球を合成し,それをテンプレートに用いることに変更した。そのため,PMMA単分散球の合成などに予定外の時間を費やすことになり,全体の進捗状況が当初の計画よりも遅れてしまった。 本研究の目的を達成するためには,作成したTiO2-IO構造は可能な限り均一であることが望ましい。現在得られているTiO2-IO構造の品質は既報のものと同等のレベルに到達している。しかし,IO構造の表面の一部には,過剰量存在した前駆体の焼結により生成したと考えられる不定形部分が存在している。不定形部分はフォトニック結晶としての光物性の低下の原因となり得る。そのため,現在,この不定形TiO2の除去を試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に作成したTiO2フォトニック結晶について,物性評価と光誘起ESRスペクトルの測定を行う。 (1) TiO2-IOの物性評価 TiO2フォトニック結晶(IO構造)の作成に用いた前駆体溶液を用いて,フォトニック結晶でないTiO2(対照試料)を作成する(焼成条件などはすべてフォトニック結晶作成時と同一とする。ただし,PMMAテンプレートなしで焼結を行う)。両試料について,UV-vis吸収スペクトル測定,SEM観測,粉末X線回折および比表面積の測定を行う。なお,粒子径190 nmのPMMA単分散球のテンプレートを用いて作成したTiO2-IO構造のフォトニックバンドギャップは370~380 nm付近に現れると予測され,低速フォトンの波長はそのギャップの両端にある。 (2) ESR測定 フォトニック結晶とフォトニック結晶でないTiO2試料(各10 mg)を各々別のESR試料管(外径 5 mm)に採取し,真空ラインを用いて室温で1 h 脱気する。続いて,200℃に昇温し同温度で2 h脱気(脱水)し,そのまま脱気の状態で室温に戻して封管する。77 Kで光を照射し,同温度でESR測定し,照射時間と常磁性種(スーパーオキシドアニオンやTi3+,O-など)の生成量との関係を調べる。光照射には,キセノンランプ又は水銀ランプを使用する。必要に応じてシャープカットフィルターやバンドパスフィルターを用いて照射光波長を制御し,光強度,照射時間の影響を調べる。低速フォトンの波長領域を考慮して照射光波長を制御する。必要に応じて,酸素ガスを導入した試料についても同様の実験を行う。 なお,ESR測定と並行して,低速フォトンの波長領域(フォトニックバンドギャップの位置)の異なるIO-TiO2の合成を行う。
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