2017 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of defect energy level of titanium(IV) oxide particles by double-beam infrared photoacoustic spectroscopy
Project/Area Number |
17K06019
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
村上 直也 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (10452822)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 光触媒 / 光音響分光法 / 酸化チタン |
Outline of Annual Research Achievements |
半導体微粒子中に存在する欠陥のエネルギー準位が光触媒活性に与える影響を明らかにするために、我々が開発した二重励起赤外光音響分光法(IR-DB-PAS)を酸化チタン微粒子に適用することによって、欠陥のエネルギー準位の評価法を確立することを目的に実験を行った。 先ず、比較的浅いエネルギー準位(0.1~0.7eV 付近)の欠陥の評価法を確立するために、IR-DB-PASの測定条件の検証を行った。正孔捕捉剤存在・不活性雰囲気下で紫外光を照射することにより、吸着有機物由来のピーク変化以外にも,赤外吸収が増大することが確認できた.また、①アクセプター・ドナーの効果、②助触媒の有無、③Ti3+量との相関性などの検討を行うことにより、我々はこの赤外吸収の増大をTi3+によるものと帰属した。さらに、正孔捕捉剤の添加条件を最適化することにより、欠陥準位解析の弊害となりうる正孔捕捉剤に由来する赤外吸収を抑え、欠陥による赤外吸収のみを抽出することに成功した。 次に、再結合を支配する深いエネルギー準位(0.7~1.86 eV)の欠陥の情報を抽出するために、測定波数範囲の拡張を試みた。本科研費で購入したフーリエ変換型近赤外分光分析装置と既存の光音響システムを組み合わせることにより、IR-DB-PASの測定波数範囲を拡張することに成功し、欠陥に由来する高波数域における赤外吸収を明らかにした。 これらの測定は、十数種類の市販酸化チタン試料に対して行い、系統的な解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で最も難易度が高いと考えていた「測定波数範囲の拡張」を、初年度の中ごろにはほぼ完成することができた。そのため、既に数多くのデータを得ることができている。以上の理由により、現在までの進捗状況はおおむね順調に進展していると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
評価試料をさらに増やし(異なる種類の酸化チタン微粒子、酸化チタン以外の酸化物半導体粒子)、IR-DB-PASによる評価を行うとともに、装置や解析法をさらに改良していく予定である。また、酸化チタン微粒子の光触媒活性との相関について解析を行い、欠陥のエネルギー準位が光触媒の反応特性にどのような影響を与えるかを解析する予定である。
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