2018 Fiscal Year Research-status Report
植物組織を最大限活用した機能物質の選択抽出と高性能電気二重層キャパシタ電極の開発
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17K06031
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
坪田 敏樹 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (10304750)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 電気二重層キャパシタ / 活性炭 / カスケード利用 / 水酸化カリウム賦活 / 塩化亜鉛賦活 / リン酸賦活 / 二酸化炭素賦活 / 多段階賦活 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物の組織構造を最大限に活用して高性能な電気二重層キャパシタ電極材料を作製するために、竹を加圧熱水処理することによりヘミセルロースであるキシランをキシロオリゴ糖として竹の構造から選択に抽出し、その固体残渣を原料として、高性能な電気二重層キャパシタ電極用炭素材料を作製するための調製条件を検討した。昨年度までの成果により、水酸化カリウム賦活は固体残渣から高比表面積の炭素材料を作製するのに有効であることは見出していた。しかし、形成される細孔のほとんどはミクロ細孔なので、より高性能な材料を作製するためにメソ細孔とミクロ細孔が共存する状態を目指して実験を行った。具体的には、塩化亜鉛賦活またはリン酸賦活によりメソ細孔を形成させ、その後に水酸化カリウム賦活または二酸化炭素賦活でミクロ細孔を形成させることを目指した。試料に対して重量で3倍量の水酸化カリウムを添加して賦活を行うと、形成されていたメソ細孔が残らずにミクロ細孔のみとなっていると読み取れる吸着等温線となった。そこで試料に対して重量で1倍量の水酸化カリウムを添加して賦活を行うことでメソ細孔とミクロ細孔が共存する状態にできた。二酸化炭素賦活の場合も賦活時間を短くすることでメソ細孔とミクロ細孔が共存する状態にできた。静電容量を評価したところ、試料に対して重量で3倍量の水酸化カリウムを添加して賦活した試料で最も高い値となり、メソ細孔とミクロ細孔が共存した状態よりもミクロ細孔がほとんどの状態のほうが静電容量が高くなることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの成果により、竹を加圧熱水処理することによりキシロオリゴ糖を抽出してその固体残渣を原料として活性炭を作製できることを実証できた。また当初予期していなかった利点として、加圧熱水処理することにより固体残渣中の灰分が大きく低減することがわかった。灰分は活性炭の原料には少ないことが望まれるため、加圧熱水処理によりキシロオリゴ糖を抽出する操作が自動的に灰分を減少させる操作となることは工業的に価値がある。固体残渣を原料とした活性炭の作製およびその電気二重層キャパシタ電極材料としての性能評価のこれまでの結果から、水酸化カリウム賦活が大きな静電容量を得るために有効な賦活方法であることがわかった。また、塩化亜鉛賦活やリン酸賦活のように脱水反応を伴う賦活処理は、固体残渣からの活性炭の収率を増大させる効果を確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果から、竹を加圧熱水処理することによりキシロオリゴ糖を抽出してその固体残渣を原料として水酸化カリウム賦活を行うと高い静電容量の電気二重層キャパシタ電極材料を調製できることがわかった。しかし、水酸化カリウム賦活では固体残渣から活性炭の収率が低い。塩化亜鉛賦活やリン酸賦活のように脱水反応を伴う賦活処理は固体残渣からの活性炭の収率を増大させる効果があることを確認できているので、塩化亜鉛やリン酸による処理を、表面積を増大させるための操作ではなく、収率を増大させるための操作として考え、少ない添加量で処理することにより表面積が小さくとも高い収率で炭化物を作製し、それをさらに水酸化カリウム賦活することで高い収率と高い性能の電気二重層キャパシタ電極材料を作製することを目指す。これまでの成果から、大きな静電容量を得るには、表面積と細孔径分布は大きな要因ではあるものの決定的な要因ではないと考えられる結果が得られている。表面積と細孔径分布に加えて、IRドロップ、元素組成、を加味して静電容量を決める要因や規則性を見出していく予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予定では、石英ガラス器具等の高額で破損しやすい物品について破損することを想定して予算に計上していた。これらの器具はないと実験を行うことができないので破損回数を多めに想定する必要がある。実際に実験を進めた結果、破損の回数が予想以下であったために結果として当該助成金が生じた。
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Research Products
(5 results)