2017 Fiscal Year Research-status Report
らせん構造を有する落花生内皮焼成粉体を用いた電磁波吸収体の開発
Project/Area Number |
17K06043
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
飯塚 博 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (90142215)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 電磁波吸収特性 / 多孔質炭素粉体 / プラスチック複合材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
身近に存在する植物の非食部である落花生内皮には、ユニークな天然のらせん構造が発達している。その落下生内皮を高温窒素ガス雰囲気中で炭素焼成した粉体を配合してプラスチック複合材料を作製し、電磁波吸収体としての活用を目指している。得られた結果の要約を以下に示す。 (1) 焼成して得たら多孔質炭素粉体を混ぜ込む母相のプラスチック素材選定に関し、これまで使用してきたポリエチレン(PE)に加えてポリプロピレン(PP)を用いた複合材料を作製した。今回使用した素材においては射出成形時の流動性が異なり、成形混錬中に炭素粉体の破砕状況に差が生じ、吸収体における炭素粉体の粒径と分散性に差が生じる可能性が高い。この流動性の粉体配合状況変化への影響について検討している。 (2) 作製した試料の電磁波吸収特性を、京都府産業支援センターと兵庫県立大学・山本准教授研究室の協力を得て測定した。その結果、PE母相とPP母相の試料では、電磁波吸収特性に差が生じ、今回作製した試料の炭素配合量と試料厚さにおいては、吸収特性は流動性の良い母相試料でより良好な結果になった。両試料とも実用の目安である20dBは上回り、特に流動性の良好な母相試料では30dBを超える良好な特性が得られた。特性の傾向としては、流動性の良い母相で、より大きな粒径の炭素粉体の存在が期待される。 (3) 今後、炭素粉体の破砕状況にどの程度の差が生じているのかを詳細に検討していくことによって、吸収体製造条件の炭素粉体粒径分布や分散性への影響が把握でき、吸収体の製造条件の確立に繋がる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
流動性の異なる複数のプラスチック母相を用いた複合材料を作製し、流動性の良好な試料で良好な電磁波吸収特性を得ている。今後は多孔質焼成炭素粉体の射出成形時の破砕状況の変化と電磁波吸収特性の差の関連を詳細に検討することで、粉体粒径や粒子分散状況と電磁波吸収特性の関連が評価でき、製造方法の確立に一歩近づく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、複合材料製作後における炭素粉体の粒径とその分布状態を測定する。分布状況については、ボロノイ分割法などの手法に基づき、定量的な評価を実施していく。また、落花生内皮から作製した炭素粉体で特に電磁波吸収性が良好になっているが、この吸収性発現機構として、落花生内皮のらせん構造を有する多孔質構造が主因なのか、落花生内皮炭化焼成粉体の炭素含有量の高さが主因なのかに関し、炭素含有量の影響に着目した試験も追加していく。
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Causes of Carryover |
炭素粉体配合の複合材料製造経費が予定よりも安く実施できたことから、5万円ほど次年度使用額が生じた。少額であり、翌年度の使用計画が大きく変更されることは無い。
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Research Products
(5 results)