2018 Fiscal Year Research-status Report
らせん構造を有する落花生内皮焼成粉体を用いた電磁波吸収体の開発
Project/Area Number |
17K06043
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
飯塚 博 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (90142215)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 電磁波吸収体 / 多孔質炭素粉体 / 植物非食部 / 射出成形 / 誘電率 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物非食部を炭化焼成して得た多孔質炭素粉体を配合し、電磁波吸収体を作製した。作製した電磁波吸収体に含まれる炭素粉体粒径・分布状況・配合量のセンチ波領域における吸収特性への影響について検討した。また、ミリ波領域の吸収特性については、吸収体表面にピラミッド形状の凹凸を付け、その形状効果について検討した。得られた結果の要約を以下に示す。 (1)植物由来炭素粉体を用いた射出成形製造シート材はセンチ波領域の電磁波に対して20dB以上の良好な吸収特性を示した. (2)射出成形体内における炭素粉体の分散性は良好であった。また、炭素粉体は母材にポリエチレンを用いるよりポリプロピレンを用いた吸収体の方が、射出成形時に溶融ペレットの流動性が高く、電磁波吸収体内部に粒径の大きな炭素粉体を多く残すことができた。その結果、ポリプロピレンを用いた方が植物由来の多孔質構造を残すことができ、優れた電磁波吸収特性を得ることができた。 (3) ミリ波領域の電磁波吸収特性には、5mm高さのピラミッド形状凹凸の効果が大きく生じ、30GHz~90GHz付近までの広帯域で20dBを超える良好な電磁波吸収特性が得られた。 (4) 作製した素材の誘電率を測定し、その誘電率を用いた電磁波吸収体の設計法について、炭素粉体配合量の異なるシート材の積層構造化に関する基礎的な設計手法を確立できた。今後、指定周波数域において最適な吸収特性を有する電磁波吸収積層体の設計・製作・測定に繋げていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の当初計画である、落花生内皮焼成炭素粉体添加による安価・軽量な電磁波吸収体の製造技術確立、に向けて順調に展開している。昨年度までに基本的な特性把握はできている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、さらなる特性向上に向けたシート材積層化等に関する設計手法と製造技術の確立を進めていく。また、最終年度に当たり、市販品との性能比較や価格比較も行っていく。
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Causes of Carryover |
当初計画していた射出成形試料作製の外注が無かったことから、それに関連した経費分が次年度使用額として生じた。今年度は、最終年度に当たり、より製品化に近い積層型の電磁波吸収体の設計・作製とその吸収特性評価を行うこととしており、そのための経費として使用していく計画である。
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Research Products
(10 results)