2018 Fiscal Year Research-status Report
Integrated Study on the Biomechanical Factors of Distal Radius Fracture
Project/Area Number |
17K06047
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
プラムディタ ジョナス 新潟大学, 自然科学系, 助教 (50615458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田邊 裕治 新潟大学, 自然科学系, 教授 (60143020)
依田 拓也 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (60769454)
小林 公一 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (70296317)
坂本 信 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80215657)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 橈骨遠位端骨折 / 骨折形態 / 有限要素解析 / 骨密度分布 / 荷重特性 / 力学試験 / 破壊モデル / パラメータスタディ |
Outline of Annual Research Achievements |
橈骨遠位端骨折は,他部位の骨折に比べて骨折形態の多様性が大きく,その多様化の発生要因は未だに明らかになっていない.力学的発生要因を解明するために,工学視点からのアプローチが必要であると考えている.本研究では,橈骨遠位端骨折における骨折形態の多様化の発生要因を解明するために,手首有限要素モデルを構築し,これに骨組織の力学試験結果に基づいて同定した破壊モデルを導入し,橈骨遠位端骨折を再現できる解析手法を新たに確立することを目的としている.平成30年度では,構築した手首有限要素モデルを用いた荷重条件および材料特性の影響の調査,手首有限要素モデルの妥当性検証のための再現解析,ウシ皮質骨の力学試験および試験片モデルによる力学試験再現解析を実施し,以下の成果を得ることができた. 1.手首有限要素モデルを用いて負荷方向および荷重分配を変更させ,転倒事故再現解析を実施した.解析結果からひずみ分布を調査し,負荷方向および荷重分配の影響を明らかにした.また,一様な骨密度をもった手首有限要素モデルを構築し,これを用いて上記と同様の解析を実施することにより,骨密度分布の再現の有用性を明らかにした. 2.外力に対する橈骨遠位端の力学応答に関する文献を調査し,文献と同様の条件下で解析を行い,関節における接触力および橈骨遠位におけるひずみ分布の比較を実施した.これにより手首有限要素モデルの妥当性を評価した. 3.ウシ大腿骨から皮質骨試験片を作製し,これを用いて引張,圧縮およびせん断試験を実施し,各試験における応力-ひずみ応答や破断時の応力等を調査するとともに,各パラメータの比較を行った. 4.引張,圧縮およびせん断試験の試験片と同様の形状をもった試験片有限要素モデルを構築し,これらを用いて各試験の再現解析を行い,破断時の応力やひずみを明らかにした.また,有限要素モデルに破壊モデルの導入を試みた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり,平成29年度において構築した手首有限要素モデルおよび転倒事故再現解析手法を用いて負荷方向および荷重分配が橈骨遠位端のひずみ分布に与える影響を明らかにすることができた.また,一様な骨密度分布をもった有限要素モデルの解析結果との比較により,橈骨遠位端骨折を解析するにあたり実際の骨密度分布を再現することが重要であることを明らかにすることができた.これらのことより,本研究で構築した手首有限要素モデルの有用性を示すことができた.さらに,平成29年度において確立した皮質骨の力学試験法を用いてウシ大腿骨から作製した皮質骨の引張,圧縮およびせん断試験を実施し,試験片個体差を考慮した応力-ひずみ応答や破断時の応力等を取得することができた.また,三種類の試験の試験片モデルを用いて各試験の再現解析を実施し,解析結果から応力やひずみを算出できることを確認した.以上より,平成31年度に予定される破壊モデルのパラメータ同定およびこの破壊モデルを導入した手首有限要素モデルによる骨折形態の再現に必要な有限要素モデル,実験データおよび解析手法の準備がおおむねできている.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で構築した手首有限要素モデルの信頼性を評価するために,複数の文献データを用いて再現解析をそれぞれ行い,妥当性検証を実施する予定である.また,皮質骨の引張,圧縮,せん断および曲げ試験データを用いて試験再現解析を実施し,骨折の発生予測に使用可能な物理パラメータの調査や破壊モデルのパラメータ同定を行う予定である.さらに,開発した破壊モデルを手首有限要素モデルに導入することにより,橈骨遠位端骨折の骨折形態を再現し,骨折形態の多様化に大きく影響を与える力学的要因を明らかにする予定である.
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Causes of Carryover |
実験およびデータ整理の補助に学生謝金を計上していたが,補助が不要となったため,未使用額が生じた. 研究の成果を国際会議で発表する予定であるため,その参加登録費に充てることとしたい.また,最終年度の研究進捗状況から必要と判断した場合,データ整理の補助として学生謝金を支出する.
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Research Products
(6 results)