2018 Fiscal Year Research-status Report
集団運動を反映する普遍的な統計的性質を用いた固体材料の機械的性質の統一的理解
Project/Area Number |
17K06049
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
下川 智嗣 金沢大学, 機械工学系, 教授 (40361977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新山 友暁 金沢大学, 機械工学系, 助教 (00583858)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 塑性変形 / 力学特性 / 集団運動 / 非晶質構造 / 非平衡物理 / 分子動力学法 |
Outline of Annual Research Achievements |
構造用材料の更なる高信頼性化に向けて,未解決問題である「変形素過程の協働的・連鎖的な集団運動と機械的性質の関係の解明」に挑むために,平成30年度は 平成29年度に開発した結晶構造から非晶質構造まで様々な原子構造を表現できる原子モデルに対して,変形解析を行い,まず組織と強度の関係を調査し,つぎにある集団運動を反映する力学応答量とその発生頻度の関係を調査し,固体塑性に内在する普遍的な統計的性質を特徴づける「傾きa」と「最大イベントサイズxmax」と力学特性の関係を検討した.ここでは,原子構造ユニットモデルに周期境界条件を適用することで自由表面の影響を排除し,内部構造や組織に固有な力学応答を対象とした.これまでの我々の実績から,変形条件はひずみ速度一定の単軸引張変形とし,統計的性質の解析を行う力学量は,応力ひずみ曲線に見られる応力降下量Δσを用いた. 得られた結果として,結晶と非晶質の混在組織の流動応力は,結晶や非晶質単相モデルよりも小さい値を示し,弱化傾向を示すことが明らかになった.その原因の一つとして結晶と非晶質の異相界面に着目し,結晶と非晶質の積層モデルの変形シミュレーション解析を通じて,非晶質領域で形成されたフォースチェーン(原子間の力の繋がり)を起点として異相界面から転位が放出していることを見出し,そのことが混在構造モデルの弱化を引き起こす一つの要因であることを示した.更に,各モデルの統計的性質を調べたところ,流動応力の小さな混在モデルの「最大イベントサイズxmax」は小さな値を示し,機械的性質と統計的性質に相関関係が存在する可能性を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,結晶構造から非晶質構造まで様々な原子構造を表現できる原子の構造と流動応力の関係,そして統計的性質と流動応力の関係性を調査することができているため.
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は当初の研究計画通り,構造用材料の高信頼性化に強く関与する機械的性質(じん性および延性)を,自由表面を有する試験片モデルを用いて評価し,統計的性質との関係を明らかにしていく.
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