2018 Fiscal Year Research-status Report
導電性と透光性を備えた大形の導電性ナノファイバ/樹脂薄膜の移動電界印加による試作
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17K06061
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Research Institution | Hachinohe Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 寛 八戸工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (90179242)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | グラフェン / 複合材料 / 導電性 / 透光性 / 一方向配列 / 移動電界 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は,これまで添加材として使用してきたカーボンナノチューブ(CNT)に替えて,より高い電気伝導率が得られるといわれているグラフェンを使用して,移動電界を印加して未硬化樹脂中で添加材を一方向に配列させた.作製した複合材薄膜は18 mm×18 mm×0.05 mmサイズで,作製した薄膜の電気伝導率と光の透過率を測定した. グラフェンの樹脂中での分散性の向上のために,界面活性剤トリトンXを使用した.グラフェンと紫外線硬化性樹脂の懸濁物を作製し,これを,ハンドスプレーガンを使って,スライドグラス上に均一に広げた.懸濁物をコートしたこのスライドグラスを多重電極の上に置いた. 多重電極では,幅0.2 mmの細長い直線状電極24本が1.2 mmの間隔で平行に並んでいる.この多重電極に60°ずつ位相が異なる±300Vの六相矩形波電圧を印加し,懸濁物に移動電界を加えた. 実験では,グラフェンの重量含有率0.1 wt%~0.5 wt%の範囲で行ったが,どの重量含有率でも一方向にグラフェンが連結して配列した.波長λが400nm~800nm,いわゆる可視光の範囲でグラフェン無添加と添加した試験片の各波長λでの光の強さの比を平均して光の透過率の減少率Tを算出した.グラフェンの重量含有率の増加とともに光の透過率の減少率Tは指数関数的に減少するといえた. と連なったグラフェンの束と束の間隔が狭くなり,光が通過できる領域の割合も小さくなることがわかる.グラフェンの重量含有率が増加するにしたがって光の透過率が減少するのは当然であろう.電気抵抗率ρも測定したが電気伝導度を有するとはいえないレベルであった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CNTを添加材とする複合材の作製,および電気的,光学的特性の検討についての結果をまとめ「材料」に投稿し,平成30年度掲載された.また,より大形の導電性ナノファイバ/樹脂薄膜の作製方法についての理論的検討も行い,論文を作成し,「日本機械学会論文集」に投稿した. 現在,研究実績の概要にも記したようにグラフェンを未硬化樹脂中で一方向に連結させた複合材を作製することに挑戦中である.現在はグラフェンを樹脂中に分散させるために,界面活性剤を使用している.最初に使用した樹脂の分子量の大きさのために,グラフェンを一方向に配列できても,グラフェン同士の間の分子量の大きな樹脂が入り込みグラフェン間の距離が大きくなって,作製された複合材に電気伝導性が発現しなかったと考えた.しかし,より分子量が小さな樹脂を使用して同様な方法で複合材を作製しても電気伝導性は発現しなかった.界面活性剤の使用が問題であるかもしれない. そこで,グラフェンに替えて還元酸化グラフェンを添加材として使用して,複合材薄膜を作製する計画である.樹脂との親和性は酸化グラフェンがグラフェンに比べて圧倒的に高い.しかし,酸化グラフェンが安定な素材であり,電気伝導性の発現には添加後に樹脂中で還元する必要がある.この還元の実施は現有設備では難しい.そこで酸化グラフェンほどではないが,ある程度の樹脂との親和性を持つ還元酸化グラフェン購入して添加材として使用する.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況に記した事項を実施し,結果を論文としてまとめることが大きな課題である.また,一方向に連結したグラフェンの状態を画像解析することも計画している.グラフェンの重量含有率を増加させると連結したグラフェンの束は太くなり,また束の数も増加する.この状態を解析し,グラフェンの連結の過程の解明の一助になればと考えている.
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Causes of Carryover |
頭書の申請時の経費についての使用計画の変更はない.差額については,実験遂行に必要な消耗品購入に充てる計画である.
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Research Products
(2 results)