2017 Fiscal Year Research-status Report
インデンテーション法によるクリープ係数および指数同定の解析的および実験的研究
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17K06068
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
坂根 政男 立命館大学, 理工学部, 教授 (20111130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 隆基 立命館大学, 理工学部, 教授 (40242581)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高温強度 / クリープ / インデンテーション / 材料力学 / クリープ指数 / クリープ係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
球圧子を用いてクリープ係数およびクリープ指数を大きく変化させた弾性クリープ有限要素法解析を実施した。これらのクリープ材料定数の範囲は現存するほとんどの材料定数の範囲を網羅している。有限要素法解析結果から、圧子直下の応力状態やひずみ状態を解析した。圧子直下での応力状態は多軸応力状態であることが判明し、応力多軸性を考慮したインデンテーション法によるクリープ定数解析の開発が必要であることを確認した。また、インデンテーション法によるクリープ指数は単軸クリープ試験によるクリープ定数と近い値をとることが、広範な材料定数を変化させた結果から確認することができた。しかし、インデンテーション法から得られたクリープ係数は単軸クリープ試験から得られたそれよりも大きかった。 高温機器用のインデンテーションクリープ試験装置を設計・試作した。試作した装置は最高温度700C、最大荷重500Nであり、応力変動の試験も可能なようにモータで荷重を負荷する方法を採用した。試験荷重ロードセルを用いて、溶接部のインデンテーションクリープ試験を連続的に位置を変えてできるように、試験片移動用のステッパを有している。電気ヒーターには、電気炉の寸法を小さくするため、セラミックヒーターを用いている。試験装置の外形は、概略200幅×160奥行き×600高さである。電気炉周りの冷却も空冷方式をとり、卓上で100Vのコンセントがあれば、動作可能な装置である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた弾性クリープ有限要素法解析は、予定通りに実施することができた。解析当初は解の収束にやや問題があったが、時間増分や要素分割の工夫により、解決することができた。 高温用のインデンテーションクリープ試験装置については、全く新たな試作であり、基本設計に多くの時間を割くことになった。特に課題となったのは、荷重負荷機構と押し込み深さの検出機構である。前者は自動計測を前提としていることから、モータ負荷を採用した。後者は、差動変位計一対を熱膨張の影響をできる限り避けるため試験片に近い位置に設置することによって解決した。温度、モータ、押し込み深さ、荷重および試験片移動用のステッパはすべてコンピュータ制御である。試験装置は3月下旬に完成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は弾性クリープ解析結果を検討し、クリープ係数の高精度な抽出方法を開発する。特に、圧子直下の多軸応力状態の時間変化をどのようにして定量化するのかを主眼におく。この点が本研究の最大の課題である。抽出方法をいくつか検討し、まず、有限要素法結果との検証を通して、抽出方法の妥当性や高精度化を図る。その後、実験結果との検証を進める。 インデンテーションクリープ試験装置については、まず、試験装置の検定試験も含めた動作確認試験を実施する。その後、オーステナイト系ステンレス鋼や改良9Cr鋼の母材および溶接部のインデンテーション法によるクリープ定数の抽出試験を実施する。その際、試験装置動作用の制御プログラムも開発する。 研究補助者として、前期課程の大学院学生と卒業研究学部生の研究テーマとして設定し、研究の推進を図る。
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Causes of Carryover |
平成29年度に購入予定であった「高温機器材料用インデンテーションクリープ試験装置」の完成・納品が当初予定より遅れ3月末となり、平成29年度予算からの支払い期限に間に合わなかったため。
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