2018 Fiscal Year Research-status Report
電磁誘導加熱を用いたフッ素エラストマーと熱可塑性樹脂との多層圧縮成形法の開発
Project/Area Number |
17K06085
|
Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
村田 泰彦 日本工業大学, 基幹工学部, 教授 (00200303)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | フッ素エラストマー / 熱可塑性樹脂 / 多層圧縮成形 / 金型 / 電磁誘導加熱 / 接合強度 |
Outline of Annual Research Achievements |
フッ素エラストマーは、耐熱性や耐油性に優れ、Oリング等へのシール材として利用されてきた。フッ素エラストマーと熱可塑性樹脂とが接合されて一体構造になったシール材ができれば、気密性や滑り性、組立性等の性能の向上が期待できる。しかし、フッ素エラストマーは接着性が劣ることに加え、硬化温度あるいは 融点、粘度特性等が異なる両材料を、接合界面の形状や層厚み、接合強度を制御しながら多層成形することが難しいために、上記シール材の実現が困難であった。本研究では、接合界面の形状や層厚み等の寸法に高い精度を有したフッ素エラストマーと熱可塑性樹脂との多層成形品を製造するための成形プロセスと、それを実現するための、金型各部の温度が独立制御できる電磁誘導加熱を利用した金型とを開発すること、また、剥離が起こりにくい界面形状を提案すること、接合のメカニズムを明らかにすることを目的としている。平成30年度は、平成29年度に製作した多層成形用電磁誘導加熱・冷却金型を用いて、テトラフルオロエチレン・パーフルオロ系エラストマーFFKMに対して、熱可塑性樹脂の高密度ポリエチレンHDPEを組み合わせた多層成形を行った。その結果、同時成形法よりも二段階成形法の方が良好な界面形状が得られることを確認した。多層成形品のT形剥離試験を行い、HDPE側の金型温度の上昇に伴い、破壊状態がFFKMとHDPEとの間の界面破壊からFFKMの材料破壊へと移行し、かつ、破壊強度が増加することを確認した。なお、得られた研究成果は、プラスチック成形加工学会 成形加工2018と、2018年度精密工学会秋季大会学術講演会にて口頭発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度は、多層成形用電磁誘導加熱・冷却金型を用いて、テトラフルオロエチレン・パーフルオロ系エラストマーFFKMに対して、熱可塑性樹脂の高密度ポリエチレンHDPEを組み合わせた多層成形を行い、二段階成形法を行うことで良好な界面形状が得られることを確認した。また、多層成形品のT形剥離試験を行い、HDPE側の金型温度の上昇に伴い、破壊状態がFFKMとHDPEとの間の界面破壊からFFKMの材料破壊へと移行し、かつ、破壊強度が増加することを確認した。しかし、HDPEの他に、当初予定していたFFKMとポリプロピレンPPとアクリロニトリルブタジエンスチレンABSとの多層成形については、成形を試みたものの、両者の硬化温度と融点が異なるために、難しいことが明らかとなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、平成30年度に達成できなかったFFKMとポリプロピレンPPやアクリロニトリルブタジエンスチレンABSの多層成形を可能とするため、熱可塑性樹脂の予備成形体の表面に、アンカー効果の発現を狙ったラインアンドスペース状の微細溝を設けて成形を行う、また、硬化反応を遅らせたFFKMを新たに用いて、熱可塑性樹脂の融点以上の金型温度条件において成形を行うなどの方法について検討する。また、平成30年度および31年度に行った実験結果に基づいて、接合のメカニズムと最適な多層成形プロセスを提示する。 さらに、3年間の研究を通して得られた結果を整理し、研究報告書をまとめると同時に、プラスチック成形加工学会や精密工学会で発表を行う。
|
Causes of Carryover |
消費税の端数処理の関係で、当初の見込額と執行額が1円だけ異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含めて、当初予定で通りの研究を進めて行く。
(使用計画) 平成31年度予算は、金型部品などの製作費と、学会発表のための旅費および研究報告書の作成費用に充てる予定である。
|
Research Products
(2 results)