2018 Fiscal Year Research-status Report
放電援用ブラシ効果による工具摩耗制御を用いたCFRP切削の高品位化技術の開発
Project/Area Number |
17K06088
|
Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
田中 秀岳 上智大学, 理工学部, 准教授 (10422651)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | CFRP / 放電加工 / 通電切削 / 旋盤 / 機能性樹脂 |
Outline of Annual Research Achievements |
CFRP(炭素繊維強化樹脂)は軽量かつ高強度な材料として着目されているが,そのフィラーとして含まれている炭素繊維による著しい工具摩耗と加工品質の悪化及び加工コストが問題となっている.本研究では熱硬化性CFRPと,特に医療機器等での使用が増加している熱可塑性CFRPに着目し,切削時に炭素繊維によるブラシ効果と放電現象を組み合わせることにより工具摩耗を能動的に制御する切削加工方法を確立し,加工条件の最適化を通じて,CFRPのフィラーとマトリックスの種類毎における切削性の検証,放電可能工具の試作と放電援用ブラシ効果による工具逃げ面形状創製の最適化,及びCFRTPのバリ等が無く,工具摩耗の影響を低減し安定して切削できる手法の提案を行う. NC旋盤を用いた機能性樹脂材料の精密切削加工の最適化について,以下の項目を実施した. 1.既存の炭素鋼加工用切削工具を用いての切削特性及び工具摩耗の進展に関して,複合材料であるCFRP及び機能性樹脂を汎用旋盤で加工すると作業環境を汚染するため,新たに専用のNC旋盤を導入し,下項実験を行った.CFRPの旋削は未切断の繊維が残留し,切削工具の逃げ面を主に摩耗させることが判明した. 2.通電援用による切削特性の調査に関して,NC旋盤の工具-工作物系を電気的に絶縁し通電実験を行った.カーボンブラシを用いる事により回転するCFRP工作物への通電を可能とした.通電実験では工作物と工具が接触する切削部にて局部的に加熱することに成功した.しかし樹脂の軟化によりCFRPの切削特性改善には至らなかった. 電気的な絶縁手法及びCFRPに対する通電手法を確立することができた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
NC旋盤の絶縁に時間を有し実験が遅れた. 機能性樹脂材料であるCFRP丸棒の納期が大幅に超過し予定より実験実施が遅れた.
|
Strategy for Future Research Activity |
通電切削ではCFRPのフィラーである炭素繊維の切削を効率化することは困難であった.そのため申請課題当初からの予定である放電現象による絶縁破壊により炭素繊維を断ちきる方法での切削加工を行う. 昨年度終盤より本年度にかけて放電援用による切削実験を行う. すでに放電基礎実験は終えており,CFRPと工具間での放電現象は確認済みである.本年度は連続かつ安定的に放電加工を持続させるための放電ギャップ,電流特性の知見を得るための基礎実験の準備を行っている. また,NC旋盤での放電切削実験をおこなう.
|
Causes of Carryover |
消耗品の見積もり時と納入時の差額が生じ,未執行金が生じた. 本年度に執行予定である.
|