2018 Fiscal Year Research-status Report
骨に近い低弾性率を有するニオブチタン合金の微細加工技術の構築
Project/Area Number |
17K06095
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
加藤 秀治 金沢工業大学, 工学部, 教授 (90278101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 喜隆 金沢工業大学, 工学部, 教授 (00290734)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 低弾性率 / ニオブチタン合金 / 難加工性 / 微細加工 / 合金組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,口腔外科手術において歯の再形成術に使用される人工歯根の成形加工を目指しており,これに用いられるニオブチタン(Nb-Ti)合金材料の微細加工技術の構築を行うものである。この材料は材料固有の特性である“人骨に近い弾性率”を有しており、かつ精密鋳造法により一次成形品が供給しやすい材料である.しかし,極めて高い難加工性を有しているため骨の代替え材料として優れた医療用材料であるにもかかわらず,使用に至っていない.これを改善するため,切刃稜線の鋭利化が可能で高熱伝導率を有するバインダレスダイヤモンド焼結体工具材料を導入し,微細加工条件下での高能率加工と人工歯根形状および表面形状の形成を達成するものである. 本年度は加工性に劣るが,低弾性率を有する合金比がNb55-Ti45のものに絞り,昨年度選定した適正な条件をベースにその前後における摩耗機構について詳細な検討を実施した.また,計画していたバインダレスナノ多結晶焼結体工具の性能試験を実施した.微細加工における切削機構の解明をを試みた.また,これを考慮した最適微細加工条件の選定についても検討した. バインダレスダイヤモンドの切削性能を試みた結果,切れ刃の脱落による著しい損耗のため,予想していた耐摩耗性が得られない結果となった.そのため,微細切削機構についてはダイヤモンド被膜工具の刃先を処理して鋭利化した工具を用いて検討した.低速側では平均結晶粒径の異なるダイヤモンド被膜を層状に積み上げた多層被膜部分において,切削抵抗の影響を強く受け層の界面にクラックが生じることを明らかとした.また,高速側では逃げ面摩耗部においてはダイヤモンド被膜が薄く剥がれる損傷機構を示すことを確認した. バインダレスダイヤモンドの切削性能を試みた結果,切れ刃の脱落による著しい損耗のため,予想していた耐摩耗性が得られない結果となった.そのため,
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の実施予定の内容は,昨年度の微細加工条件の最適化の内容を踏まえ,Nb55-Ti45 合金の微細切削メカニズムの検証である.また,昨年度検証ができなかった異なるNb-Ti 合金における組織の変化の詳細を明らかとすることである.前者についてはほぼ完了している.しかしながら,後者については,TEM画像と電子線回折パターンおよびEBSD 分析による微視的組織の観点からの検証がNb55-Ti45 合金材料については終わっているが,すべて完了できていない状況である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はNb55-Ti45 合金材料以外の材料についてTEM,EBSDを用いた詳細な組織観察を実施する.また,今年度の結果でバインダレスナノ多結晶ダイヤモンド焼結体工具がうまく適用できなかったこととこれに代わるものとして選定したダイヤモンド被膜工具の性能向上を狙い,今後の研究を被膜後部の刃先鋭利化と性能試験に一部シフトし実施する.なお,刃先処理には次年度使用を予定していた数ワットのファイバーレーザーを利用することとした.
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Causes of Carryover |
(理由)当初予定していた合金材料の詳細な分析はNb55-Ti45合金のみしか実施できなかったため,その分析費用の一部が次年度分として積み残された. (使用計画)今年度使用予定している工具材料作成費と合わせて積み残した分析の費用として使用予定である.
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Research Products
(3 results)