2017 Fiscal Year Research-status Report
NPD製マイクロボールエンドミルに対するレーザ/プラズマ複合加工技術
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17K06099
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
天本 祥文 福岡工業大学, 工学部, 助教 (00505670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仙波 卓弥 福岡工業大学, 工学部, 教授 (30154678)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | レーザ加工 / ナノ秒パルスファイバーレーザ / フェムト秒パルスレーザ / ナノ多結晶ダイヤモンド |
Outline of Annual Research Achievements |
刃先の丸み半径が1nm以下のNPD製マイクロボールエンドミルを作るに当たって,最初の工程であるダイヤモンドを目標の工具形状に粗成形するレーザ加工時の刃先丸み半径のばらつきは,後に行うイオンエッチングに大きく影響を及ぼす.そこで,レーザ加工を行ったNPD製マイクロボールエンドミルの刃先丸み半径のばらつきを少なくできるレーザ加工技術の開発を行った.当初の予定通り,レーザ加工条件の選定を行ったが,ナノ秒パルスファイバーレーザを用いたレーザ加工では,加工中にレーザの熱による熱変質層が生成され,加工に必要な熱の伝達が阻害されるため,除去量にムラができ,加工面にうねりが生じていることが明らかになった.そこで,使用するレーザを2017年に導入した熱影響の少ないフェムト秒パルスレーザに変更し,フェムト秒パルスレーザを用いた微細形状の加工技術を新たに開発することを試みた.その結果フェムト秒パルスレーザを用いてナノ秒パルスファイバーレーザと同様の微細形状加工が可能であることが確認できた. また,レーザ加工を行ったNPD製マイクロボールエンドミルに対して,刃先の丸み半径を1nm以下にできるイオンエッチング技術の開発をレーザ加工技術の開発と並行して行った.当初は本年度中に刃先の丸み半径を10nm以下にすることが目標であったが,加工条件の選定や実験装置の改良を行うことで, NPD製マイクロボールエンドミルの刃先の丸み半径を1nm以下に成形できるイオンエッチング技術の開発に成功した.ただし,上記レーザ加工の問題が解決できていないため,刃先の丸み半径は0.1nm~20nm程度でゆらいでいる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では,NPD製マイクロボールエンドミルのレーザ加工技術の開発は平成29年度の段階で完了しいるはずであるが,パルス幅の長いナノ秒パルスファイバーレーザを用いたレーザ加工の特性上,熱影響を完全に除去することは難しくレーザ加工後の刃先丸み半径のばらつきを完全に除去することは困難であると判断し,断念した.しかし2017年度に熱影響が少ないとされるフェムト秒パルスレーザを新たに導入する機会に恵まれたため,フェムト秒パルスレーザを用いて刃先丸み半径のばたつきが少ないNPD製マイクロボールエンドミルの成形技術の開発を開始した.フェムト秒パルスレーザは導入して間もないため加工特性の違いや,これまで開発したナノ秒パルスファイバーレーザを用いた形状加工技術がフェムト秒パルスレーザでのレーザ加工に応用できるか分からなかったため,平成29年度後半は,フェムト秒パルスレーザの加工特性を調査することに注力した.そのため,NPD製マイクロボールエンドミルの形状成形を行うに至っていない.しかし,凸状ディンプル等の3次元形状の加工が可能であることは確認できた. また,NPD製マイクロボールエンドミルの刃先の鋭利化に関しては,イオンエッチングを用いることで本研究の目標であるNPD製マイクロボールエンドミルの刃先の丸み半径を1nm以下にすることには既に成功している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は, ①ナノ秒パルスファイバーレーザを用いたレーザ加工では,レーザで生じる熱変質層の影響で加工面にうねりが生じ,刃先も丸み半径のばらつきを抑制することが困難であるため,熱影響の少ないフェムト秒パルスレーザを用いて刃先丸み半径のばらつきが小さいNPD製マイクロボールエンドミルのレーザ成形技術の開発を行う. ②平成31年度に予定していた,質量数が異なるガスをイオンエッチングに使用すると同時にイオンエッチングの条件を変えることにより,NPD製マイクロボールエンドミルの刃先丸み半径を50nm以下で制御できるイオンエッチング技術の開発を行う といった2つの研究を行う.
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Causes of Carryover |
本課題に使用する工作機械の故障が相次いだため,NPD製ノーズRバイトの刃先の丸み半径の測定に使用する原子間力顕微鏡用カンチレバーの購入価格より残額が少なくなり,本年度の購入を見送った.残金は本年度のカンチレバー購入に使用する.
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Research Products
(7 results)