2018 Fiscal Year Research-status Report
チタン微細金型製造における加工条件最適化と高速加工に向けた多価イオン応用
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17K06101
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
浅地 豊久 富山高等専門学校, 機械システム工学科, 教授 (70574565)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | イオンビーム / 多価イオン |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目となる平成30年度は多価イオンビーム支援プラズマ加工装置の改良およびイオンビーム加工実験を中心に進めた. まず,多価イオンの生成量増加を狙って,プラズマ生成の低圧力化を図った.イオン源部の両端に設置するリング状永久磁石を増設し,ミラー磁場を強化した.磁場を強化することで電子の閉じ込めが向上し,2×10-3Pa程度の低圧力でもプラズマを維持することが可能となった.これにより,より多くの高エネルギー電子が生成され多価イオン生成の向上が見込める. 次に,昨年製作したウィーンフィルタを大島商船高専の多価イオンビーム装置に設置して質量分離実験を行なった.これにより,既存の多価イオンの質量分離器として主流となっている扇形磁場型と本研究のウィーンフィルタの比較を行った.結果として,開発したウィーンフィルタによってアルゴン3価まで分離できることを確認した.しかし,扇形磁場型質量分析計と比較すると分解能は劣るのが現状である. また,本研究で開発した小型イオン源を大島商船高専の装置に設置し,扇形磁場型質量分析計で質量分離する実験も行なった.ウィーンフィルタに代えてこの質量分離器を用いることで,より正確に小型イオン源の多価イオン生成能力を評価できる.結果として,アルゴンガスでは2価,クリプトンガスでは3価の多価イオンの生成を確認した. 最後に,イオンビームの加工能力を調べるために銅板への照射実験を行なった.イオン源の引出電極に4kVの電圧を印加し,イオンビームを生成した.この際の電流値は約40μAであった.このイオンビームを銅板に240分照射した.銅板にはイオンビームが照射された面と,絶縁被覆された面があり,加工後の段差を走査型電子顕微鏡で観察した.その結果,局所的ではあるが1μm程度の段差が確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
多価イオンビーム支援プラズマ加工装置の開発はほぼ予定通り進んだ.特に,小型イオン源での多価イオン生成,ウィーンフィルタによる多価イオン質量分離に成功した.しかし,イオン源の改良やウイーンフィルタの評価が研究の大半をしめたことで,イオンビームによる加工実験開始までの進捗となり,プラズマ雰囲気中での加工実験は3年目に実施することにした.
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Strategy for Future Research Activity |
3年目については計画通り多価イオンビーム支援プラズマ加工装置を用いて,イオンビーム加工でのエネルギー依存性やイオン種および価数の影響を検証する.研究を進める上で新しいマイクロ波源の導入を検討している.より高周波数(具体的には,2.45GHzもしくは5.8GHz)でプラズマ生成を行うことで,高効率な多価イオン生成が可能になると考えている.それに伴いECRプラズマ生成に適した磁場の強化が必要となることが想定できる.加えてウィーンフィルタの質量分離分解能を向上させ多価イオンビーム支援を可能にする.最終的には,チタン加工におけるイオンビーム支援の有効性を検証する.
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Causes of Carryover |
加工実験がやや遅れているため消耗品の発注を次年度に変更した.また,学科発表の旅費も次年度使用することにした.
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Research Products
(1 results)