2018 Fiscal Year Research-status Report
脆性材料内部で生成されるステルスき裂を利用した高速非接触ドライ割断技術の開発
Project/Area Number |
17K06103
|
Research Institution | Sasebo National College of Technology |
Principal Investigator |
森田 英俊 佐世保工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (40332100)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 熱応力加工 / き裂誘導 / 脆性材料 / レーザ加工 / ガラス |
Outline of Annual Research Achievements |
水冷のない高速割断加工について,実験及び解析を行った.今年度は特に,2点加熱による高速割断の可能性について実験,解析を行った. 昨年度までの研究で,熱源前方の引張応力による高速割断を行うと,反りが発生しやすくなり,その加工成功率に問題があることが明らかになった.そこで,今年度は,走査方向前後2点の加熱とし,1点目の加熱点後方の広い引張応力場と,2点目の加熱前方の幅が狭いが最大値が大きい引張応力場を重複させることで,高速割断する実験,及び解析を行った.まず,2点加熱が行えるよう,光学系の再構成を行い,その後,実験を行った.実験については,2点の加熱間距離と出力比,走査速度毎に割断実験を行った.その結果,いくつかの条件で割断に成功したが,1点目の熱源によって,剥離や溝(水平き裂)が同時に発生した.また,応力拡大係数解析も行い,解析上は,広く破壊靭性値を超える領域が存在し,割断に適した状態であると判断したが,前述の通り,実験では,1点目の加熱点により,剥離や溝が発生したため,これらを防止するための条件を検証することにした.つまり,溝加工(水平き裂)と割断(鉛直き裂)の同時成長がみられたため,水平き裂が発生せず,鉛直き裂のみが成長する条件を探索するため,熱源形状が楕円と矩形の場合で,走査方向に長い場合と短い場合について解析を行い,水平成分と鉛直成分の応力拡大係数の変化の傾向について検討した.解析結果は,割断に適した鉛直き裂の成長には,走査方向に長い楕円,または矩形の熱源形状が適していることが明らかになった.しかし,表面から深さ40um程度の溝が発生する領域では,線膨張係数の加熱速度依存性が大きくかかわるため,今後,これについても検討を行う必要があるため,真空チャンバー内に高熱ヒーターを内蔵した実験を装置を製作した.来年度,これにより線膨張係数の加熱速度の依存性についても測定を行う.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的である割断については,おおむね予測通りの結果であったが,同時に剥離や溝が発生する予想外の結果が得られたため,やや遅れ気味といえる.しかし,鉛直き裂と水平き裂が同時に成長する条件の現象の発見と解明には,破壊力学における学術的発展に貢献し得るため,非常い意義があると考える.
|
Strategy for Future Research Activity |
高速ドライ割断については,目途がつきつつあるが,同時に剥離や溝が発生するため,これを防止する熱源形状を新たに検討する必要がでてきた.また,この検討には,加熱速度が高速の領域における線膨張係数の評価が必要であるため,この測定実験も行う.併せて,熱源形状を楕円とする光学系を再構築し,応力拡大係数解析から得られた結果と実験との間で比較・検証を行う.
|
Causes of Carryover |
ほぼ,予定通り使用し,330円という少額の誤差のためそのままとした.
|
Research Products
(2 results)