2017 Fiscal Year Research-status Report
集束イオンビームによるダイヤモンド工具の高機能化と表面機能創成への応用
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17K06108
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Research Institution | Toyama Industrial Technology Center, |
Principal Investigator |
川堰 宣隆 富山県工業技術センター, その他部局等, 主任研究員 (30443419)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 超精密加工 / 微細加工 / ダイヤモンド工具 / テクスチャ / 集束イオンビーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、集束イオンビーム加工およびその影響層の除去処理技術を応用することで、切削加工特性や切れ刃形状の点で優れた超精密・微細加工用ダイヤモンド工具を開発するとともに、本工具の特長を生かした新たな機能を有する機能性表面の作製技術への応用化について検討することを目的とする。超精密加工用の単結晶ダイヤモンド工具にテクスチャを作製することで、その加工特性を改善できる。この技術を用いたダイヤモンド工具を作製し、そのテクスチャ形状の最適化および材料種の影響を明らかにするため、テクスチャの形状や被削材種、加工条件の影響について検討した。被削材種の影響について検討した結果、比較的硬度が低いアルミニウム合金や無酸素銅の場合には同様な傾向となり、切削速度にかかわらず強いテクスチャの効果が得られる。一方、NiPの場合には低速切削の場合にのみ、その効果が得られた。これより、被削材の材料特性によって、その効果が大きく異なることがわかった。 またテクスチャ形状の最適化を目的として、テクスチャの本数を変化させた実験を行った結果、切れ刃に近いテクスチャで、最も強い効果が得られることがわかった。さらに切れ刃に近いテクスチャの位置を変化させた結果、NiPではテクスチャ1本で十分な効果が得られるのに対し、他の材料では2~3本のテクスチャが必要であるなど、加工条件、加工材料によって最適なテクスチャの形状が異なることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、集束イオンビームを利用して作製した、テクスチャを有するダイヤモンド工具について、そのテクスチャ形状の最適化および材料種の影響について検討した。これより、被削材種によって加工特性が変化し、また最適なテクスチャも変化することを明らかにした。 本年度は主に上記の成果を得ることができ、各条件における最適なテクスチャ形状を設計する上での指針を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度得られた知見を基に、下記の項目について検討する。 (1)テクスチャを作製したダイヤモンド工具を用いて加工実験を行い、特に耐摩耗性の点での違いについて検討し、本工具の優位性を明らかにする。 (2)集束イオンビーム加工および影響層の除去処理により、微細切れ刃形状を有する工具を作製し、これを用いた微細加工実験を行う。これより、作製方法や作製条件が加工形状の精度や耐摩耗性等へ及ぼす影響を明らかにする。 (3)集束イオンビーム加工の特長を生かした工具形状の作製を行い、これを機能性表面の作製技術への応用を試みる。
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Causes of Carryover |
(理由) 本年度は主にダイヤモンド等の工具を購入し、実験を行う予定で費用を計上していたが、基礎的なデータ収集を目的として、既存の工具を再研磨することで実験を行った。このため経費に残りが生じた。 (使用計画) 次年度では本年度の結果を基に、数種類の工具を用いた加工実験を行う。そのための費用とする予定である。
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