2019 Fiscal Year Research-status Report
宇宙ロボットの緩衝のための関節弾性機構と制御の基盤的研究
Project/Area Number |
17K06119
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
西田 信一郎 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (50358529)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ロボット / 直列弾性機構 / インピーダンス制御 / 螺旋バネ / 宇宙デブリ |
Outline of Annual Research Achievements |
3次元の回転運動が残留している宇宙デブリの捕獲においては、取っ手を持たない非協力ターゲットである宇宙デブリとの力学干渉により、動的な荷重の発生が避けられない。このため、捕獲するロボットアームには、荷重の緩衝機能および制動力の印加により対象の運動を徐々に停止させる制動動作機能が必要である。このため、本研究では、新規の(らせん円盤型弾性機構)方式の関節弾性機構を構成し、アーム先端部での大きな弾性変形ストロークを確保するとともに、関節のトルクセンサによる関節インピーダンス制御の発展形態の(仮想デプス)制御を適用し、センサとアクチュエータのコロケーションによりアーム構造共振を制御ループ外に位置付けることで高い制御応答性を確保し、これらにより、良好な緩衝性能を実現することを目指して以下の3つのステップにより、本基盤研究を進めてきた。 a.関節弾性要求設計手法検討:制御系解析、動力学解析、統計処理による特性配分手法の検討 b.関節弾性機構構成検討:解析・試作・試験による機構構成方式の確立および設計手法構築 c.システム特性確認:捕獲作業に対する2関節アーム組込での弾性機構の試験・有効性確認 そして、実際の宇宙デブリ除去衛星を想定したエンジニアリングモデルレベルの関節機構2式とCFRP製ブーム、捕獲ハンドなどで構成される水平2関節ロボットアームの試作を実施した。この試作のための設計、試作については、Robomec2019、SI2019などの学会で報告した。関節に内蔵する捻り弾性機構については、2種類の方式で試作を行い、どちらも水平2関節ロボットアームに組み込み可能である。しかし、これらのうちで構成がシンプルで信頼性が高いと思われる方式の弾性機構については、製作・加工方法の難しさが課題となり、所期の設計どおりの特性で構成できておらず、より製作が容易な構成を目指して、再設計を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
捕獲用ロボットアームの各関節に組み込む捻り弾性機構につき、構成がシンプルで信頼性が高いと思われる第一候補の方式の弾性機構について、製作・加工方法の難しさが課題となり、所期の設計どおりの剛性特性で構成できておらず、低い剛性でのみ試作ができている。捻りバネのサイズを軸方向に大型化すれば、所期の特性が実現できるが、衛星への搭載を想定した質量制限に対応できない。このため、製作が容易で、信頼性が高く、かつ、所期の特性が得られる構成を目指して、バネ要素やその支持構造要素について設計方式の見直しも含めて再設計を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、この弾性機構の再設計、製作を行い、能動関節インピーダンス制御と組合せた単関節での緩衝性能・特性試験を行い、アクティブなインピーダンス制御とのマッチングを確認し、関節弾性機構との連結特性を各々取得し、評価する。続いて、水平2関節アームを用いて、アームとして関節制御、関節機構、関節弾性機構、アームリンク、エンドエフェクタの各部の機械的インピーダンスが連結した形態での機械的特性の試験および移動・緩衝・制動の各制御性能・特性試験を実施し、評価し、学術誌論文に纏める。
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Causes of Carryover |
衛星搭載を想定したエンジニアリングモデルレベルの2次元ロボットアームの試作を実施したが、本研究の主要課題である関節に内蔵する捻り弾性機構につき、製作上の課題があり、再設計となっており、試作、試験、評価を次年度に繰り越しせざるを得なかった。今後、再設計を進め、試作、試験、評価を実施する。
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