2017 Fiscal Year Research-status Report
レーザ加工による工作機械しゅう動案内面のきさげ加工レス化に関する基礎研究
Project/Area Number |
17K06135
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Research Institution | Tsuyama National College of Technology |
Principal Investigator |
小西 大二郎 津山工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (80186717)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | テクスチャリング / しゅう動摩擦係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は以下の2つの実験からなる。1つは、油溝(グルーブ)とくぼみ(ディンプル)を有する金属製固定試験体と金属製往復しゅう動体とで接触面を形成させた場合で摩擦特性を調査すること。2つ目は、油溝(グルーブ)とくぼみ(ディンプル)を有する金属製固定試験体とガラス製回転しゅう動体を用い潤滑油の拡張や保持の様相を観察することで、油溝・ディンプルのもつ機能と性能を確認することである。実験に先立って、きさげ加工面の表面性状の特性値を計測し、その幾何学的特徴を数値化した。 数値化されたきさげ面の特性値を参考にして従来のフライス加工で大きなくぼみ(ディンプル直径2, 4 mm)と油溝 (グルーブ溝幅1.1 mm)を有する研磨試験片を個別に作成した。実面圧0.05 MPa、しゅう動速度90~6000 mm/minの運転条件で、粘度等級ISO VG46のタービン油およびしゅう動面専用油を用いて、試験片を研磨プレートと組み合わせ、研磨試験片を含め合計6パターンのディンプル試験片と1パターンの油溝試験片とで摩擦試験を行った。結果、研磨試験片の場合よりもディンプル試験片のしゅう動摩擦係数が小さくなった。また、ディンプル試験片の場合と比べ、油溝試験片の場合のしゅう動摩擦係数が極端に大きくなることがわかった。 油溜量観察装置による実験では、使用潤滑油に蛍光剤をあらかじめ添加しておき、これにUVランプ光源(津山高専備品)を照射・発光させることで、潤滑油の保持・拡張の様相をガラス製移動しゅう動体を介してビデオカメラで観察・記録する計画である。このため、測定開始時に、LEDを点灯させると同時に同期信号5 Vを発生させることで動画データとロードセルからのディジタル出力電圧データの同期性を確保するための装置を保有部品で製作し、試験機に搭載した。さらに既存のガラス製移動しゅう動体を新しいものに更新した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
往復しゅう動摩擦試験機 (津山高専備品) による試験片Bと相手しゅう動板を用いた実験B(しゅう動摩擦試験)の平成29年度計画分は計画通り実施した。 油溜量観察装置 (津山高専備品) による試験片Aを用いた実験A(潤滑油観察実験)を遂行するための準備としゅう動面上の油溝 (グルーブ) やくぼみ (ディンプル) のサイズが極端に小さな場合は潤潰油の保持・拡張の様子の観察か達成できるかの予備調査を行う予定であった。しかし以下のような当初予期していなかった機器の不具合やソフトウェアの更新・追加の必要性が生じたため、実験Aの予備実験を遂行することができず油溜量観察装置の整備のみとなってしまった。具体的な機器やソフトウェアの更新・追加は以下の項目であった。①動画データ(潤滑油の保持・拡張の様子の観察データ)は現有のデータ解析ソフトウェア(津山高専備品) により潤滑油の保持・拡張の様子を解析する予定であったが製品のアフターサービス上の問題により同等機能を有する別の仮想同期ソフトウェアを購入するとともに、解析に先立って必要となるファイル形式変換ソフトウェアを新たに購入した。 ②ディジタル出力電圧データ(しゅう動摩擦の計測データ) 収録用ソフトウェアのアップデート版を購入・更新した。③試験機整備作業中に試験片に作用させる垂直荷重検出用ロードセルが破損したため同等機能を有するロードセルを新たに購入し、更新の上同試験機に搭載した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度実施した摩擦試験の結果、研磨試験片の場合よりもディンプル試験片のしゅう動摩擦係数が小さくなったことでしゅう動摩擦低減にテクスチャリングが有効であることがわかった。また、ディンプル試験片の場合と比べ、油溝試験片の場合のしゅう動摩擦係数が極端に大きくなることがわかったことから、グルーブとディンプルからなる複合テクスチャリング設計のための課題が明らかになった。 以上の結果を受けて、まず、グルーブ試験片のしゅう動摩擦低減化のための検討を行う。具体的には、フライス加工によって設けられたグルーブと試験面との角に面取りまたはアールを付けることの効果を摩擦試験により確認する。次に、平成29年度実施計画で未実施だった予備調査を実施し、潤滑油の拡張や保持の様相を観察できる油溝 (クルーブ) やくぼみ (ディンプル)のサイズを確認するとともに平成29年度に摩擦試験したディンプルの潤滑油の拡張や保持の様相を観察する。最後にC02レーザ加工技術あるいはフライス加工を用いてディンプルをグルーブで連結することがしゅう動摩擦係数に及ぼす影響を調査したい。
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