2018 Fiscal Year Research-status Report
Studies on Development of High-Efficient and Reliable Cooling Flow Control Devices under a Realistic Gas Turbine Environment
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17K06138
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
船崎 健一 岩手大学, 理工学部, 教授 (00219081)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ガスタービン / 高効率化 / 高温化 / フィルム冷却 / 最適化 / 実験 / 数値解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
CO2排出の少ないガスタービンエンジンへの期待が高まっている中、本研究ではこれまでの経験、知見、技術的蓄積を活かしながら,実用環境下におけるフィルム冷却制御デバイスの高効率化及び高信頼性に資する調査と新たなデバイス開発を目的としている。本研究では、まず最適化手法としてタグチメソッドを用い、フィルム冷却効率と熱伝達率の両方を考慮した指標であるNet Heat Flux Reduction(NHFR)を最適化評価指標として取り入れ、デバイスとして最もフィルム付着性向上に貢献するDFCD形状最適化を試みた。その結果として、デバイスに対する流入角の増加に伴い、NHFRが増加する傾向が確認された。
その一方で、DFCDはデバイスから生成される縦渦が大きいため、低吹き出し比で性能を発揮しにくいことや、空力損失増加が大きいことから、デバイスからの縦渦の規模が小さい新規デバイスであるFCD(DFCDの一方の突起のみを残したもの)及びDimple(DFCDとは逆に対となっているくぼみ)を新たに提案し、そのフィルム冷却性能について調査を行なった。FCDについては、設置位置を様々に変化させた結果、FCDは冷却孔中心からある程度スパン方向へ設置位置をずらした方が高い性能を発揮することが分かった。また、NHFRの減衰が非常に小さく、すべての領域で均一に冷却できるデバイスが探索され、同デバイスは全圧損失の点においても優位性があることを見出され。これまでのデバイスの欠点を克服できる可能性が明らかとなった。
DimpleについてはDFCDと同様に、タグチメソッドを用いてFilm及びNHFRを最適化評価指標とし、形状最適化にも取り組んだ。二種類の目的関数に対して探索された最適形状の両者の性能を比較した結果、Opt(NHFR)が最も冷却性能が高く、かつ損失の少ないデバイスであることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験では標準的な条件及び実際の流れ場で発生しうる複数の流れ場条件での空気・伝熱面での調査をデバイス無し翼を用いて行うとともに、最適化で探索された複数の種類のデバイスを装着した翼を用いて行い、最適化の妥当性を実験的に検証することができた。更に、汎用コードでの流れ解析を通じて数値的にもより深く現象を調査するための準備に着手できた。
最終年度に本格的に使用を開始する大型環状セクター風洞については、光学計測機構の機能追加、PSP/TSP 計測のin-site較正機能の実装、標準条件及び複数の主流乱れ条件時の翼列試験装置(デバイス無し翼使用)の空力・伝熱(フィルム効率、熱伝達率)性能計測のための機構設置とプログラミングを進めた。また、新たなデバイスの一つとして、V字デバイスの調査にも着手し、その基本性能を把握するとともに、V字デバイスのRANS 解析をベースとしたロバスト最適化や多目的最適化の準備も進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度では、「実機環境下におけるフィルム冷却制御デバイスの高効率化及び高信頼性化に関する研究」の総仕上げとして、下記の課題に取り組む。
まずは、最適化によって探索された各種デバイス(FCD、Dimple、V字)の低乱れ度及び高乱れ条件下での性能調査を、平板試験装置に欄休講しを装着することで実施し、CFDベースでの最適化の妥当性を検証し、必要に応じて再最適化を行う。再最適化の際には、冷却性能と空力損失との多目的最適化を行い、前者を重視したタイプと後者を重視したタイプの最低2種類の新たなデバイスを探索する。また、その最適化結果に試験に対応したLES解析を実施し、CFDによる予測精度の限界などを探るとともに、制御すべき渦構造の抽出を行う。
上記の作業と並行して、大型環状セクター風洞を用いて、主にエンドウォール上でのフィルム冷却に上記のデバイスを適用したモデルを製作し、3次元的な流れ場と入口高乱れ度の条件下でのデバイスの性能を調査する。冷却性能の調査では、PSPによるフィルム効率計測とともに、TSPを用いた過渡応答法でのフィルム効率・熱伝達率同時計測を試み、両者の融合化を行う事で、より高精度なフィルム冷却特性の把握を試みる。また、供試翼下流でのよどみ点圧力分布の計測を行う。これらの調査を通じて、デバイスによって誘発される空力損失増加の状況を把握し、冷却性能重視タイプと空力損失重視タイプでの定量的差異を明らかにし、実機適用性を議論する。この試験に対してもCFD解析を実施し、実験では達成し得ない高レイノルズ数条件での特性調査を行い、実験的研究の補完を行う。
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