2017 Fiscal Year Research-status Report
凝固組織を含む非等方性流体乱流の特性解明とシミュレーションによる予測法の開発
Project/Area Number |
17K06149
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
太田 貴士 福井大学, 学術研究院工学系部門, 准教授 (10273583)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 乱流 / 液体金属 / 凝固 / 溶融 / 非ニュートン粘性流体 / 直接数値シミュレーション / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
液体金属の固液相変化の界面付近に凝固組織構造が存在する流れを想定して、直接数値シミュレーションの技術により、非等方性流体の乱流流動構造のメカニズムを解明して、実用的な流れの数値シミュレーションのための乱流モデルを開発することを目指している。 研究の初段階として、固液界面付近の温度分布に応じた非一様な粘度分布や凝固組織構造の形成による非等方な粘度分布を予測して、その効果を壁面乱流の直接数値シミュレーションに導入する手法を開発した。そして、並列ベクトル型計算機における計算速度を向上させるために、計算手法に並列化とベクトル化率を向上させるための計算手法を考案した。また、界面付近の粘度特性を高精度に再現するために必要な計算条件設定の探索に取り組んだ。そして、直接数値シミュレーションの実行結果から流れ場のデータベースを構築した。 データベースを解析した結果から、固液相変化を伴う乱流場において、界面近傍の粘度変化に応じた乱流構造の空間スケールの補正により、ニュートン流体の場合と乱流場を予測できることを明らかにした。さらに、乱流場の統計的な特徴を変える程度に、乱流構造と粘度変化構造に特別な相互作用があることが示唆された。また、粘度変化だけではなく、壁面の溶融による液体質量の供給によって乱流エネルギーの強化がみられたことから、既存乱流モデルの改良の必要性が示された。 今後の課題として、これまでに知られている乱流場の再現に必要な計算容量の見積りとは異なり、粘度特性に依存した計算格子や差分精度の見直しが必要になることがわかった。そのため、当初の計画より、解析対象のために適当な計算条件の探索に時間を擁した。さらに、凝固組織構造の根源的な流れ場への影響を調べるためには、流れ場の再現方法を再検討する必要がある可能性があることがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、液体金属の固液相変化を伴う乱流場の直接数値シミュレーションを実行して、シミュレーション結果から乱流場のデータベースを構築した。その結果、乱流場の予測に必要な特性を観察できることがわかった。そのことから、現在までの達成度はおおむね良好である。さらに、観察結果から乱流予測モデルの開発のため必要な検討事項が明らかになった。 ただし、解析結果から固液界面付近の凝固組織構造を再現するために、流れ場の温度分布に依存して変化する粘度分布の解析手法の使用を当初予定していた。それに対して、凝固組織構造の形成を予測するための解析手法の導入によって、さらに予測困難な乱流場の特性変調が観察できることが期待できる。固体材料力学に基づく組織構造の予測方法を導入する必要があることがわかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
計画に従って、乱流の発生、維持メカニズムの解明をすすめるとともに、3次元乱流場の予測精度の検証のために、研究室内計算機と外部大型計算機センターの計算機を引き続き利用する。そして、研究室計算機では、乱流場の大規模データベースの追加、最適化、維持管理を進める。 当初の計画と並行して、直接数値シミュレーションの実現方法を見直す。固液界面付近の凝固組織構造を高精度に再現するための解析手法の導入とそのための乱流の直接数値シミュレーションの解析手法を開発に取り組む。 また、直接数値シミュレーションの予測信頼性を確かめるために、研究協力者の実験計測結果を利用して、解析結果の普遍性を向上させることを目指す。解析対象の乱流場の再現性を客観的に評価して、解析手法の改良の必要性を判断できるようにする。そのために、溶融、凝固現象における乱流場の予測のための既存解析ソフトウェアを利用することを想定して、研究協力者と協議する。
|
Causes of Carryover |
本年度の時点では、データベースの追加と最適化が完了していない。次年度において、引き続きデータベースの改善を継続する予定である。そのことから、データ保存用ディスクの緊急の必要性が生じなかったために、データ保存用ディスクの本年度の購入を見送った。次年度においては、解析データの長期保存のために、次年度の購入予定と合わせて、データ保存用ディスクを購入する予定である。
|
Research Products
(5 results)