2019 Fiscal Year Research-status Report
異なるスケール間での界面運動の結合に基づく非理想面濡れのダイナミクスの記述
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17K06151
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
伊藤 高啓 中部大学, 工学部, 教授 (00345951)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 接触角 / 接触線 / 動的濡れ / 凹凸 |
Outline of Annual Research Achievements |
固気液三相の交わる接触線の挙動及びそこでの気液・固体界面間のなす角である接触角は固体の濡れを論じるうえで極めて重要である.特に,接触線が移動するときの接触角(動的接触角と呼ぶ)は,静止時とは異なり,固体,液体の表面張力の他,液体の粘性応力も関与し,接触線の移動速度に応じた挙動を示す.特に凹凸面上では凹凸での接触線の固着や解放などにより,接触線の運動及び接触角の変化は複雑なものとなる.2019年度は前年度までに作成したマイクロメータの幅の溝加工を施した試料を用いた実験を繰り返し行うことで再現精度を向上させ,特徴的な挙動の整理に努めた.その結果,接触線は固着・解放を周期的に繰り返すStickSlip運動を行っていることが明瞭に捉えられた.これをもとに,前年度から構築を開始した界面形状評価モデルの改良を行った.このモデルでは解放直後の過渡時における速度分布や界面運動の伝播をモデル化することで,界面変形の時間変化を求めるものである.実験条件との比較により,このモデルが解放直後の接触線運動及び接触角をよく再現できることがわかった.また,固着時の接触角変動が予測と異なることを明らかにするため,試料正面からの撮影を行い,接触線の変形の様子を調べた.その結果.溝の直線部では接触線は一時的に固着しているのに対し,固着部分からは比較的早い段階に角部から液体が流入することがわかった.また,これと併せて昨年度作成した鋸刃状の溝を持つ試料でも実験を行った.その結果,直線溝とは全く異なった挙動を示すことがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
長方形状の溝形状の凹凸を持つ試料平板上での接触線の固着ー解放についてはその支配因子を概ね明らかにすることができた,また,界面形状モデルについても十分な精度で予測することができた.一方,非直線の溝を有する試料を用いた実験については,使用する試料平板の加工後の表面状態(濡れ性)が安定し,当初の想定どおりとなるのに予想以上の時間を要し,その間適切な条件下での実験が行えなかったため,実験開始が遅れ,定量的に議論可能な回数の再現実験を行うことができなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は,鋸刃状の溝形状を持つ試料の再現実験を行い,鋸刃形状が接触線の固着に与える影響を明確にする.実験はこれまでと同様に,界面形状の測定と,接触線形状の測定とを並行して行う.試料液体はこれまでと同じくエチレングリコール及び水を用いる.また,2019年度までに構築したモデルに,鋸刃形状による効果を取り込む.すなわち,鋸刃部分での接触線の屈曲による圧力分布の効果を考慮できるようにし,鋸刃状と直線状の溝での接触線挙動に違いの原因を明確にする.また,これらと合わせ長方形の溝形状のものについて角部からの流入の影響について検討する.これを行うため,角部に曲率を持たせた溝形状の試料を作成し,実験を行う.
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Causes of Carryover |
本研究では凹凸面上の界面形状の測定を行っているが,使用する試料平板の加工後の表面状態(濡れ性)が安定し,当初の想定どおりとなるのに予想以上の時間を要し(半年以上)その間適切な条件下での実験が行えなかったことによる試料作成費用・試料液体費用等の消耗品の減少,および,3次元の測定手法の測定精度の向上に手間取ったことが原因である.次年度使用額は再実験にあたっての試料作成および試料液体等の消耗品費用および測定画像の解析のための計算機使用料,ならびに最終成果報告(混相流シンポジウム2020)に用いる予定である.
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