2018 Fiscal Year Research-status Report
圧力振動場における微小気泡の特異形状と気液間物質移動速度への影響
Project/Area Number |
17K06152
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩田 修一 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00293738)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 非ニュートン流 / 粘弾性流体 / 流動複屈折 / 気泡 / 物質移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高い粘性を持つ粘弾性流体中に設置された1μL程度の気泡について、数百Hz程度の圧力振動場において気泡界面近傍で形成される特異な流動構造を活用し、ガスの吸収・反応など気液界面での物質移動速度の大幅な向上を目指す。 本年度は実験データの取得を行った。pHに対して感度を有するHPTS蛍光色素を用い、圧力振動印加周波数と1Hz異なる周波数にて488nmアルゴンイオンパルスレーザーを照射し、圧力振動場における発色を周期的に撮影することに成功した。別途取得したpH-輝度に関する検量線を基に、輝度情報をLabVIEWソフトを用いて気泡近傍のpHの2次元分布の作成に成功した。自然上昇時では、気泡の上昇に伴い、pHが下がった青色の吸収領域が気泡下部に観測された。一方、100Hzの圧力振動を印加した場合では、圧力振動の印加に伴い、気泡下部に加えて上部にもCO2が吸収された領域が出現した。圧力振動の有無による界面における時間当たり単位面積当たりの移動量で比較すると、圧力振動を印加した方が2.46倍大きいことがわかった。偏光高速度カメラの計測から得られた気泡近傍の流動構造と吸収領域とを比較すると、気泡の膨張・収縮により剪断粘度が低下し、気泡周囲には、吸収されたCO2が蓄積した領域が認められた。圧力振動場では、気泡の側方下部から真下に向かって流れるNegative wakeが発達し、周囲の溶液が気泡に接近し、大きな濃度勾配が継続的に界面近傍に形成され、吸収が促進されることが分かった。また、ゼラチン水溶液を徐々に冷却してゲル化する状況を用い、気泡下部にNegative Wakeの特徴的な形状を形成する理由について、データ収集と整理を行った。なお、これらの結果については、化学工学会年会、日本機械学会年次大会、流体工学部門講演会、レオロジー討論会、分離技術会、CMFF'18国際会議にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二年目の計画は、圧力振動場におけるデータ収集の実施と、粘度特性に関する評価である。圧力振動場における気泡近傍の流れ構造、弾性応力と気泡との関係、伸長粘度特性の評価方法に関して学会発表や論文発表を行った。また、圧力振動場における偏光高速度カメラの計測から得られた気泡近傍の流動構造と吸収領域との比較については学会発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、データ取得の継続とデータ整理を引き続き実施する。成果の一部は、日本機械学会の年次大会、流体工学部門講演会、第18回アジア太平洋化学工学国際会議(APCChE2019)などに発表する予定である。
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Causes of Carryover |
ほぼ予定通り金額を使用しており、残金を次年度に継続した。
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