2018 Fiscal Year Research-status Report
Dynamic Characteristics of an Inducer and a Tip Vortex Cavitation
Project/Area Number |
17K06157
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀口 祐憲 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (60314837)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | インデューサ / キャビテーション / 動特性 / ケーシングトリートメント |
Outline of Annual Research Achievements |
ロケットエンジンでは、ターボポンプインデューサで生じるキャビテーションが原因となって流量変動が生じる場合がある。圧力変動や流量変動に対するキャビティ体積の変化率、すなわち動特性が、流量変動の発生に大きな影響を持つため、これを明らかにすることが、信頼性の高いロケットエンジン(ターボポンプ-推進薬供給系)の実現に必要とされている。 平成30年度の研究では、主にインデューサに生じるキャビテーションの動特性に与えるケーシング形状の影響を調べた。対象としたケーシングは、ストレートケーシングと不安定流動現象を防止する効果が高い周方向溝付ケーシングである。設計流量時にキャビテーション数(吸込圧力の無次元数)を0.041、0.05、0.061、0.08、0.10の5通りに変化させ、動特性を計測、比較した。それぞれの場合に対して、加振周波数を3~15Hzの範囲で1Hz刻みで変化させた。これより、マスフローゲインファクタ(流量変動に対するキャビティ体積の変化率)の実部の値が、ストレートケーシングの場合に正となるのに対して、周方向溝付ケーシングの場合には負となり、これが不安定現象の抑制効果に関連している可能性が示唆された。 次年度は、不安定流動現象の防止効果がより高い、旋回止めを有する周方向溝付ケーシングに対して動特性の計測を行い、不安定流動現象の抑制効果と動特性の関連性を明らかにする予定である。ところで、インデューサに生じるキャビテーションの多くは、翼端漏れ渦キャビテーションである。このため、インデューサの動特性に与える翼端漏れ渦キャビテーションの効果を明らかにすることが、インデューサの動特性を理解する上で重要となる。そこで、キャビテーションタンネルに翼端隙間を設けた単独翼を設置して、翼端漏れ渦キャビテーションを発生させ、この動特性も明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度には、機密性を高めたキャビテーションタンネルを整備するとともに、代表的な条件で、インデューサの動特性を精度よく計測することに成功した。平成30年度には、動特性に与えるケーシング形状の効果を明らかにした。平成31年度には、もう1種のケーシングの効果を調べた上で、単独翼に生じる翼端漏れ渦キャビテーションの動特性を明らかにする予定である。 ケーシング形状が動特性に与える影響の解明を、平成30年度中に完了することが理想であったが、残りの課題を平成31年度中に実施したとしても、研究の流れに大きな影響はない。このため、研究がおおむね順調に推移していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度の前半では、不安定流動現象の防止効果がより高い、旋回止めを有する周方向溝付ケーシングに対して動特性の計測を行い、不安定流動現象の抑制効果と動特性の関連性を明らかにする予定である。 ところで、インデューサに生じるキャビテーションの多くは、翼端漏れ渦キャビテーションである。このため、インデューサの動特性に与える翼端漏れ渦キャビテーションの効果を明らかにすることが、インデューサの動特性を理解する上で重要となる。そこで、平成31年度の後半では、キャビテーションタンネルに翼端隙間を設けた単独翼を設置して、翼端漏れ渦キャビテーションを発生させ、この動特性も明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
動特性の妥当性を別の角度から調べるためには、流体加振器を追加する必要がある。平成30年度には、加振器を製作する段取りまで済ませたが、製作はしなかった。その費用が次年度使用額となっている。これは、ケーシング形状が動特性に与える影響の調査を優先したためである。平成31年度には、流体加振器を製作する予定である。
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