Depelopement of novel selective cell-separation technology using dielectrophoresis

2017 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 17K06176
• Research Institution: 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群)
• Principal Investigator: 多田 茂 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 応用科学群, 教授 (70251650)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 江口 正徳 呉工業高等専門学校, 電気情報工学分野, 助教 (60613594) ; 塚本 哲 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 応用科学群, 准教授 (90511460)
• Project Period (FY): 2017-04-01 – 2020-03-31
• Keywords: 誘電泳動 / 細胞分離 / 交流電場

Outline of Annual Research Achievements

高効率・高精度の細胞分離を行うための誘電泳動(DEP)デバイスの開発を行った。最終目標とするDEPデバイスの性能として、①細胞試料に微量(0.01％以下)に含まれる特定の細胞を分離可能であること、②電界・Joule発熱による細胞のダメージを極力抑えるため、負荷電圧は可能な限り小さく、デバイスの大きさはこれら因子への細胞の暴露時間を最小限にするため可能な限り小さいこと、③分離後の細胞の回収が無菌的に容易に行える、などがある。平成29年度の目標としては、まず正常細胞と癌細胞の分離を高効率で行うこと、そのために必要な実験条件を明確にすることであり、主に上の項目①について検討した。
作成したデバイスの流路上面には平板ITO電極、底面には細胞直径を参考に、長さ約40mm、幅50 μmの短冊形電極を50μmの等間隔に配置し、１本おきに接続した対向型の櫛型電極を用いた。細胞試料にはヒト乳腺上皮正常細胞(MCF10A)とヒト乳癌細胞(MCF7、MDA-MB-231)を用いた。細胞試料中の正常細胞と癌細胞の混合比は１：１とし、溶液には300mMのマンニトール等張溶液を用いた。
実験は、DEPデバイスを共焦点レーザー顕微鏡のステージに設置し、細胞試料を流路上流から導入する。流路内に試料が十分に分散した後、波形発生装置で流路に一定電圧の交流電圧を負荷し、様々な周波数に対し細胞の分離率を調べた。
正常細胞は正のDEP力により高電圧側電極の縁に吸着する一方で、癌細胞は負のDEP力により電極へは吸着しない。しかし、この傾向は周波数の値で大きく変化し、MCF10AとMDA-MB-231の組み合わせでは周波数20kHzで最大約92%の分離効率を示し、MCF10AとMCF7の組み合わせでは周波数60kHzに対し約76%と、癌細胞の種類によっても分離率と最適周波数が大きく変化することが分かった。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

当初の目標である正常細胞と癌細胞を効率よく分離する方法と条件を見出すため、まず櫛形電極の幅・間隔を決め、次に交流電圧の周波数を変化させ、分離率の変化を調べてゆく方法を採用した。また、分離率の細胞種による影響も見るため、癌細胞には２種類の細胞種を用いた。その結果、高い効率で分離出来る周波数を絞り込むことが出来、実験を試みることが出来た。また、細胞の種類によっては分離率が低下することも確認出来た。一方、電極間隔および電極幅が分離率に及ぼす影響については時間の関係で調べることが出来ず、平成30年度に引き続き実施することとした。

Strategy for Future Research Activity

分離効率をさらに高めるため、電極の幅、電場強度、電極高さなどのパラメーターを変えて行くこと、流路自体の幾何形状の改良を行ってゆくことを計画している。また、細胞の誘電泳動特性についても実際に計測することで、より高い精度での実験が行えるようにする。

Causes of Carryover

平成29年度に行う予定であった、電極幅と間隔が細胞分離率に及ぼす影響を明らかにする実験は時間の関係で行うことが出来なかったため、その分の予算を平成30年度に繰り越し、平成30年度に予定している研究に先立ち実験を行う。