2017 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of solid-liquid phase change characteristics of nanoparticles and creation of innovative latent heat storage material
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17K06179
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
麓 耕二 青山学院大学, 理工学部, 教授 (50259785)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 相変化 / ナノ粒子 / 潜熱 / 熱吸収 |
Outline of Annual Research Achievements |
相変化ナノエマルションを対象として,その安定性および相変化特性を明らかにした.特にオクタデカンを用いたナノエマルションを中心として実験を行った.具体的には相変化に伴う過冷却現象の把握とその抑制を目的としてDSCを用いた熱物性測定を行った.結果として,ナノエマルションの生成方法を変えても,これまで通り過冷却現象が観測された.高い過冷却度は粒子直径に大きく影響を受けることが明らかになった.一方,相変化材にナノレベルのソフトマターを含んだナノエマルションとは別に,安定性があり,かつ過冷却抑制が期待できる金属ナノ粒子の相変化物質に関して基礎的研究に取り組んだ.具体的には低融点金属を対象とした物性測定を継続的に行い,相変化に伴う蓄熱および熱吸収材としての可能性について検討を行った.さらに低融点金属を含む他の金属をナノ粒子化する技術について資料集を行った.さらに次年度へ向けて,直感流路を用いた固液変化過程を含む実験を行い.相変化に伴う定温効果を明らかにするため.相変化ナノ粒子を含む機能性流体の熱伝達特性を把握する実験装置の設計および一部作製を終えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた通り,相変化ナノ粒子を含む媒体(ナノエマルション)を用いた相変化特性の把握および直管流路を用いた熱伝達特性に関する研究に取り組み,一部の成果を論文投稿により公表することができた.一方,申請書に記した相変化ナノ粒子中の単一粒子を対象とした相変化特性および表面物理の把握については,若干の遅れが生じている.その理由としては,現状のパラフィン系ナノ粒子の相変化特性の把握は学理的には大変興味深いが将来的に実用化を考えた場合,相変化ナノエマルションの低い安定性が大きな障壁となることが明らかになったためである.今後,ナノエマルションの安定性を得るためのブレークスルーを導き出す必要がある.あるいはパラフィン以外の新たな材料を用いてナノ粒子を生成し,相変化特性を明らかにすることと,そのナノ粒子を混濁した機能性作動流体を用いて各種特性を明らかにする必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
これまで相変化材料としてパラフィン系材料を用いたナノエマルションに関する研究を踏まえて題目「ナノ粒子の固液相変化特性の解明と革新的潜熱蓄熱材料の創生」を検討してきたが,その低い安定性および高い過冷却現象が大きな支障となるため,今後,対象とするナノ粒子を金属系材料にシフトする.特に実用レベルの研究へステップアップするため,低融点金属を含む相変化材料の物性把握と同類金属によって生成されるナノ粒子の相変化特性について検討を行う予定である.なお研究題目および研究の方向性に変更はないが,新たに金属系材料の創生を専門とする研究者と連携を模索している.また相変化物質による蓄熱システムの構築と合わせて,相変化物質に金属を用いることで高熱伝導率化が実現できることから,CPU等の高密度発熱体等の急速熱吸収材としての可能性を調査する.加えて関連する企業との共同研究を模索する.
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Causes of Carryover |
アルカン系材料を相変化物質として利用した相変化ナノエマルションの安定性の向上ならびに過冷却現象の抑制を目的とした研究に時間を要したため.当初予定していた流動試験装置のプロトタイプ装置の設計および作製のための時間が僅少となり,装置材料の購入執行が遅れたためである.なお現時点において流動装置の設計はすでに終了しているため,今後容易に挽回が可能と考えている.
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