2018 Fiscal Year Research-status Report
Study on Surface-Tension-Convection Control Using Temperature and Electric Field
Project/Area Number |
17K06190
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
西野 耕一 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (90192690)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 対流 / 表面張力流 / 不安定性 / 対流伝熱 / 熱ふく射 / 電場 / 液柱 / 液滴 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 平成29年度に確立した数値解析手法(即ち、低Pr流体の温度差駆動液柱表面張力流について、液柱表面からの熱ふく射を評価する手法)を用いて、微小重力実験データと対比できる数値解析を行い、液柱内部および周囲気体の温度場・速度場の数値解を得るとともに、液柱表面からの熱移動(熱損失あるいは熱利得)を評価した。その結果、液柱内部流動パターンが熱損失あるいは熱利得の大小に応じて四つに分類され、それらの発生条件がmodified heat transfer ratioで整理できることを示した。自然対流が抑制される微小重力環境では、熱ふく射が液柱表面からの熱移動の主因であることを明らかにした。以上の結果を英文ジャーナル論文として報告した。 (2) 平成29年度から進めている気液界面の動的変形に係わる地上実験の成果をまとめて国内学会で報告した。ディスク径4mmの2cStシリコーンオイルの液柱では、臨界温度差の1.4倍で動的変形の特性が不連続に変化する。この変化に伴う液柱内部流動の詳細について、PIVを用いた位相平均解析によって明らかにした。 (3) 5cStシリコーンオイルの懸架液滴に温度場(温度差0~15K)と電場(直流電圧0~1000V)を印可することによって、電場による温度差表面張力流への影響を調べた。その結果、温度差と電圧がともに小さい場合は電場によって温度差表面張力流が減衰あるいは消失し、ともに大きい場合は複雑な内部流動が生じることを示した。分極電荷と誘電率勾配に起因する電気力を数値解析により検討した結果、体積力としての電気力の影響は小さく、観察された実験結果を説明できないことを示した。一方、電場による表面張力温度係数の補正を導入することにより、実験結果を定性的に説明できる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の研究計画に対して以下のような進捗状況にあり、概ね順調に進展している。 (1) 界面熱移動に与える周囲気体熱伝導率の影響の検討:熱ふく射を考慮した数値解析手法を確立し、研究成果を英文ジャーナル論文として報告した。その手法を用いて、液柱周囲気体の異なる微小重力実験データ(具体的には、周囲気体がArあるいはNe)の解析を進めている。その結果から、液柱内部流動パターンをmodified heat transfer ratioで整理することを試みている。 (2) 界面熱移動の変化による温度差表面張力流の能動制御:液柱周囲気体流動を変化させながら液柱内部流動を可視化観察できる地上実験装置を構築し、界面熱移動の変化の影響を実験的に調べている。同時に、実験と対比できる数値解析にも着手した。 (3) 温度場と電場による連成表面張力流の実験:5cStシリコーンオイルの懸架液滴に温度場と電場を印可した実験を行い、電場による温度差表面張力流への影響を調べた。その結果、温度差と電圧の大きさに依って温度差表面張力流が変化する様子を流動様式マップにまとめた。 (4) 電場印可の数値解析と検証:電場と表面張力の関係を市販の数値解析コードにユーザ関数として組み込むことによって、懸架液滴の表面張力流に与える電場の影響の数値解析を行った。分極電荷と誘電率勾配に起因する電気力を検討した結果、体積力として作用する電気力の影響は小さく、観察された実験結果を説明できないことを示した。一方、電場による表面張力温度係数の補正を導入することにより、実験結果を定性的に説明できる可能性を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に対して概ね順調に進展しており、今後も研究計画に沿った取り組みを推進する。具体的には以下の通りである。 (1) 界面熱移動の影響の評価と能動制御:平成30年度に着手した数値解析を進め、周囲気体が異なる条件について液柱内部流動パターンを整理する。熱ふく射の影響を定量化し、微小重力実験の結果と対比する。地上実験において、周囲気体流動の大きさと向きを変化させることによる温度差表面張力流の能動制御を行う。 (2) 懸架液滴の温度差表面張力流に与える電場の影響:懸架液滴に温度場と電場を与え、電場が温度差表面張力流に与える影響を調べる。構築した実験装置を用いて、温度場、電場、作動流体などを変えた実験を行い、実験データを蓄積する。電場が表面張力温度係数に与える影響を検討し、観察結果を妥当に説明できる数値解析モデルを提案する。さらに、それを用いて電場の操作による温度差表面張力流の能動制御を試みると同時に、その制御の実現性について実験的検証を行う。 (3) 研究成果の総括と公表:本課題の最終年度として研究成果の総括と公表を進める。
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Research Products
(8 results)