2020 Fiscal Year Research-status Report
レーザー光による燃料噴霧直接点火手法の確立~プラズマからの火炎核形成機構の解明~
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17K06197
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
瀬尾 健彦 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (00432526)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 着火 / 燃料噴霧 / レーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,燃料噴霧流に対しレーザー着火を適用し,その着火メカニズムを明らかにする目的で行っている.当該年度ではこれまでの成果をまとめ,対外発表を行うことを予定していたがCOVID19により達成することはできなかった.よって,実験結果を改めて解析するとともに調査を進める機会とした.燃料噴霧中の火炎核形成に関して調査を進め以下の知見を得た. プラズマによって火炎核が形成されるため,プラズマ周囲の燃料液滴の特性について調査したが,着火成功及び失敗を明確に分ける因子は見当たらなかった.しかし,プラズマの影響を及ぼす領域が現時点では明確でないために解析領域を規定できていないことが原因とも考えられるため,今後は計算によりプラズマの影響を見積もった上で再解析を行う予定である. プラズマの生成から火炎核の成長までを調査した.シュリーレン撮影で行った画像から,着火成功時では楕円状のプラズマからひょうたん型へと変化し,最終的にはほぼ球状に成長する.一方,失敗時はひょうたん型へと変化し,そのまま長手方向へと引き延ばされた形で焼失する様子が見られた.そこで,レーザーシートを用いて火炎核の断面撮影を行い,火炎核内での現象を調査した.その結果,着火成功時には内部に火炎核中心から外側へ向かう膨張による流れが存在していた.失敗時には火炎核を貫通するような流れが見られた.これは気体でレーザー着火を行った際に見られるサードローブのようなものである.着火失敗時はこの流れによって初期の火炎核から熱が奪われ,十分に成長できずに失火すると考えられる.今後はこの流れの特性を調査し,火炎核成長と熱損失の影響について検討する必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度で遅れていた分をおおむねリカバリーできたように感じる.
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Strategy for Future Research Activity |
着火成功と失敗時にはプラズマの生成から火炎核の形成までの間に違いがあることが分かった.特に火炎核内部の流れが初期の火炎核の熱損失に大きな影響を及ぼしていると考えられる.この影響を検討していく上で,数値計算を併用していく必要がある.また,着火成功時では流れが生成されていない原因を理解することも重要である.気体を対象としたレーザー着火ではサードローブと呼ばれる流れが生じ,火炎核はドーナツ状となり成長することが知られている.本研究のような噴霧を対象とした場合では燃料液滴の影響によって流れの生成が阻害されたと考えられるが,そのメカニズムは分かっていない.このメカニズムが明確になれば,着火に最適な噴霧の生成につながる知見が得られると考えられる.
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Causes of Carryover |
COVID19により予定した国外発表に対する旅費の支出がなくなったため. 次年度では,本年度で調査した内容を元に,火炎核近傍での流れを詳細に調査する予定である.画像解析となることから,これに必要な解析用のハイパワーPCの購入と確認実験に用いるための燃料と高圧ガス,その他消耗品に用いる.
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Research Products
(2 results)