2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K06201
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
洪 定杓 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (60516201)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マイクロチューブ / 全温プローブ / ガス流 / 伝熱量 |
Outline of Annual Research Achievements |
マイクロチャンネルのガス流の熱伝達特性は非圧縮性流体のそれとは異なり,ガスの膨張・加速によるガス静温の低下およびそれに伴う出口付近での壁面熱流束の増加が見られる.その特長を利用するためのマイクロチャンネルを流れるガスの熱伝達特性の解明は重要である.本研究では,マイクロチャンネルのガス流の伝熱量測定用の全温プローブを開発し,開発された全温プローブを用いた伝熱量の測定法を確立することが本研究の目的である.本年度は 1)伝熱量測定用の全温プローブの検証実験を行った.断熱性が強い直径400ミクロンと500ミクロンのPEEKチューブに窒素ガスを流し,全温プローブで測定した出口全温と出口圧力から求められた全エンタルピーは入口のよどみ点温度とよどみ点圧力から求められたよどみ点エンタルピーと比較した.その結果,両者は良く一致したが,よどみ点圧力が比較的に低い場合,両者の差異が見られ,この原因について検討中である.また乱流へ遷移する流動遷移領域を十分見られる直径150ミクロンと250ミクロンのPEEKチューブの場合について,検証実験中である. 2)ついで,開発された全温プローブを用いて,等温壁をもつ直径322.5ミクロンのステンレスマイクロチューブを流れるガスの伝熱量の算出のため,窒素ガスを用いて流動チョーキングを含む広い流動領域まで実験を行った.その結果,全温度差から算出した伝熱量は既存の式(非圧縮流れ)から算出したそれより,また全エンタルピー差から算出した伝熱量は全温度差から算出したそれより壁温と入口よどみ点温度差が小さくなるほど,速度は速くなるほど大きくなった.同様な条件で検証数値シミュレーションを行い,両者が良く一致することを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたように,全温プローブの検証実験でよどみ点圧力が比較的に低い場合,入口よどみ点エンタルピーと出口全エンタルピー,両者の差異が見られ,その原因の究明が課題である.その原因として流れが乱流へ遷移する流動遷移による影響かと考えられ,流動遷移領域が十分見られる直径を150ミクロンと250ミクロンのPEEKチューブを用いて検証実験中である. また,流動遷移が伝熱量に及ぼす影響があるかも調査中であるので,流動遷移が原因になるかを確かめており,研究はおおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は 1)まず,入口よどみ点エンタルピーと出口全エンタルピー差異の原因を究明する. 2)また遷移領域が十分見られる直径300ミクロン以下のマイクロチューブを用いて伝熱量を算出して,流動遷移が伝熱特性に及ぼす影響を調べながら1)の原因を究明する. 3)壁面熱流束一定の実験装置の設計および製作をして,壁面熱流束一定の実験装置にて熱伝達の検証実験および壁温の推定に適用できるよどみ点温度,よどみ点圧力の範囲を明らかにする補足の数値シミュレーションを行い,それらの結果のとりまとめを行う.計画の立案,実験装置の設計および製作を前期中に行い,年度内に実験を終わらせる予定である.
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Research Products
(5 results)